蓄電池をできるだけ長持ちさせるための使い方は?

近年では、自然災害による大規模停電に備える目的や、家庭の電力利用をより効率的にすることを目指して、家庭用蓄電池の導入を行う方が増加しています。特に2019年には、固定価格買取制度が期間満了を迎え、今までのような売電収入が得られなくなることから、太陽光発電で作った電気は自家消費に回すという動きが出ているのです。太陽光発電は、あくまでも太陽光エネルギーを電気に変換することしかできませんので、発電した電気の自家消費は家庭用蓄電池が必要不可欠となるのです。

こういった理由もあり、急激に普及が広がってきた蓄電池ですが、導入する方からすると、こういった設備は導入後何年ぐらい持つのか?長持ちさせるための注意点は?ということが気になるのではないでしょうか。そこで今回は、導入した蓄電池をできるだけ長く利用するためのポイントをご紹介します。

蓄電池の寿命は?

それでは、一般的な家庭用蓄電池の寿命について簡単にご紹介しましょう。皆さんが蓄電池の寿命について調べた時には「蓄電池の法定耐用年数は6年」などという情報を見かけることがあると思います。これを見ると、導入にそれなりに高いコストがかかる蓄電池なのに、「たった6年しか持たないの…」と、かなり寿命が短いと思ってしまいそうですよね。
ただし、この6年という年数に関しては、国税庁が定める法定耐用年数のことで、固定資産税(償却資産税)の計算に使うための数字であり、蓄電池の寿命とは全く関係がありません。

蓄電池の寿命はサイクル回数を注意

それでは、実際に蓄電池の寿命を計算する場合の表し方についてご紹介していきましょう。通常、こういった住宅用設備の寿命「エコキュートの寿命は10~15年」のように年数であらわされるものです。しかし、蓄電池に関しては、寿命を年数であらわすのではなく、『サイクル回数』と呼ばれる別の指標を用いるのです。

それではこのサイクル回数とは何なのでしょうか?サイクル回数は、蓄電池から充電と放電の1セットを1サイクルとしたときに、何回その充放電が繰り返したのかを表す指標をいいます。1サイクルの定義は、蓄電池の充電量が0%の状態から容量100%の満充電状態にされ、さらにそこから放電されて蓄電池の残容量が0%となるまで使い切った時点で、1サイクル分としてカウントされます。

つまり、蓄電容量の大きな蓄電池ほど、1サイクルに至るまでの時間が要するため、長持ちします。蓄電池の導入時には、こういった点に注意して、家庭に最適な蓄電池を購入しましょう。

蓄電池を長持ちさせるためのポイント

それでは、実際に導入した蓄電池について、「できるだけ長持ちさせるためには?」ということを考えていきましょう。どのような住宅設備でも同じですが、使い方次第で使用可能期間が全く変わってしまうものです。

家庭用蓄電池のカタログには、必ず機種ごとの寿命としてサイクル回数や保証年数が記載されています。しかし、そういったものはあくまでも目安として書かれているだけであり、誰が使っても記載のサイクル回数分が持つわけでもないのです。蓄電池というものは、使用しているうちに徐々に劣化してしまい、年々蓄電池の最大蓄電容量も減少してしまうのです。
したがって、蓄電池をできるだけ長く使用したいと考えた場合には、蓄電池の寿命に影響を与える使用環境や充放電の設定などへ配慮し、寿命が長くなるような工夫が必要になるのです。その為に押さえておかなければいけないのが、以下の3つのポイントです。

  • 動作に適した環境に蓄電池を設置する
  • 過充電・過放電を行わないようにする
  • 太陽光発電を連携させる場合は、対応メーカーの物を使用する

上記のようなことを注意しておかなければ、通常よりも早く寿命を迎えてしまう可能性があると覚えておきましょう。

動作に適した環境に注意

蓄電池には動作に適した環境と適さない環境があり、当然適した環境に設置した方が長持ちします。
蓄電池というものは、バッテリーの電解液を用いた化学反応を利用し充放電を行います。そこでこの化学反応に悪影響を及ぼす条件として注意しなければいけないのが、『高温』です。メーカーの取り扱い説明書などにも記載されていますが、蓄電池はできるだけ高温になりやすい場所への設置は避けなければいけません。特に、屋外に設置されることが多い蓄電池ですが、直射日光にさらされるような場所に設置すると、寿命が縮まってしまいますので注意しましょう。
また、電子部品を多く利用した電気機器となりますので、湿気の多い場所も設置に適していません。

過充電や過放電に注意

蓄電池は過充電や過放電で寿命を縮めてしまう危険があります。過充電とは容量を超えるような充電、過放電とは放電した状態で長時間放置することを指しています。

ただし、最近販売されている蓄電池は、バッテリーマネジメントシステム(BMS)によって限りなく最適化されて制御されているため、充電量が最大容量を超えるような場合、自動で充電を停止するようになっていますし、過放電を避けるために常に蓄電池の充電量の残量があるように制御を行ってくれる機能があるので安心です。

しかし、こういった過放電を避けるための残量設定値は、使用者が任意で行うことが出来るため、寿命を延ばす方法を知らなければ『0』に設定してしまう場合があるので注意しましょう。基本的に、現在主流のリチウムイオン蓄電池は、電気を0まで使い切ってから100%まで充電するという使い方より、常に30〜50%程度の残量を残して充電する方が長持ちすると言われています。ちなみに、充電がない状態で長時間放置されてしまうと完全放電してしまい、そうなった場合は、寿命前であっても再度の利用ができない状態になってしまう危険があります。

太陽光発電と蓄電池の愛称

家庭用蓄電池の導入を検討する場合、すでに太陽光発電は導入されているという場合が多いでしょう。このような時には、既存太陽光発電システムに対応した蓄電池を導入しなければいけません。蓄電池と太陽光発電システムのメーカーが異なれば動作確認などがされておらず、蓄電池を導入しても動かない…なんてこともあるのです。
さらに、別メーカーの蓄電池と太陽光発電システムを併用した場合、本来の寿命を保証することが出来なくなってしまう可能性があるため、太陽光発電・蓄電池共に保証が切れてしまうこともあるのです。こういった細かなことについては、自分で判断するのも難しいので、一度販売店の方にアドバイスをもらうのがオススメです。

まとめ

今回は、家庭用蓄電池の導入を考えている方であれば、ぜひ知っておきたい、蓄電池をできるだけ長く使用するためのポイントをご紹介しました。この記事でもご紹介したように、蓄電池の寿命を縮めてしまう要因は様々なことがありますので、せっかく購入した蓄電池を長く使いたいと思えば、本稿でご紹介したポイントは覚えておかなければいけません。