自然災害による停電に備えるには?停電対策に役立つ設備と、直前の災害対策について

今回は、自然災害による万一の停電に備えるため、普段から準備できる停電対策や、実際に台風などの自然災害が近づいてきたときに行っておきたい停電対策をご紹介したいと思います。

皆さんもご存知の通り、日本は諸外国と比較しても地震や台風などの自然災害が多い国として有名です。特に台風に関しては、毎年9月~10月にかけて、複数の台風が日本列島に上陸し、さまざまな住宅被害や停電被害をもたらせてしまいます。つい先日も、九州地方に台風10号が上陸し、猛烈な風と大雨によって広い範囲で停電被害が発生していると報道されています。
この時期に発生する停電被害は、単純に家電製品が使えないから生活が不便になる…という問題もあるのですが、何よりエアコンや扇風機などの空調設備が使えなくなってしまうため、体温の管理が難しい小さなお子様や高齢者の方が熱中症などになってしまう危険が高まる…というのが大きな問題です。もちろん、台風などの自然災害によって、ライフラインである電気がストップしているのですから、電気を使わない方法で何とかしなければならないのも確かです。しかし、近年では、こういった災害による停電が発生したとしても、ご家族の安全を守ることができる住宅設備がたくさん登場しているのです。

特に家庭用蓄電池については、東日本大震災による大規模停電が普及の始まりと言われており、一般家庭向けの製品はここ数年で一気に高性能化しているだけでなく、導入コストも安くなっているのです。そこでこの記事では、「いつ・どこで自然災害が発生してもおかしくない!」と言える日本において、非常用電源を確保するために有効な設備についてご紹介します。また、これから台風による被害も増えてくると思いますので、台風直前に行っておきたい停電対策も併せてご紹介しておきます。

停電対策に有効な住宅設備とは?

それではまず、台風や地震などの自然災害で引き起こされる「突然の停電…」に備えるため、住宅に導入しておくと非常に安心な設備をご紹介しておきましょう。私たちの普段の生活を考えると、食料品を保管するための冷蔵庫、快適な室温を実現する空調設備、調理のためのIHクッキングヒーターや電子レンジなど、もはや電気が無ければ普通の生活を維持することも難しいと言えるよな状況です。最近では、家庭で使用するエネルギーを電気に統一したオール電化住宅を選択する方も増えていますし、自然災害による停電は本当に恐ろしいものだと考えられるのです。
それでは、こういった災害による停電に備えるためには、いったいどういった設備を導入していれば良いのでしょうか?近年では、災害による万一の停電でも、生活を守るための電源を確保できる家庭用蓄電池が注目されているのです。以下で簡単に、停電時に役立つ住宅設備をご紹介しておきます。

停電対策として家庭用蓄電池が大注目!

台風の大型化や頻発する地震などの影響もあり、ここ数年家庭用蓄電池への注目度がどんどん高くなっています。蓄電池とは、その名称通り「電気を蓄えておくことができる設備」で、万一停電が発生したとしても、蓄電池から電気を供給することができるようになるため、災害下でも普段の生活を守ることができるのです。

この蓄電池に関しては、もともと大量のエネルギーを消費する工場などで活用されていた設備なのですが、東日本大震災を契機に一般家庭での非常用電源の必要性が注目され、家庭用の小型蓄電池が販売されるようになったのです。ちなみに、蓄電池にも、持ち運びが可能なタイプと、エコキュートのように住宅に据え付けるタイプの2種類が存在しています。ポータブル蓄電池については、家庭のコンセントから充電することもでき、必要場場所まで持って行って電源とする事ができるようになるため、非常時以外にもキャンプなどで利用する方が増えていると言われています。

ここで言う家庭用蓄電池は、住宅設備として導入する据え付けタイプの蓄電池で、こちらは太陽光発電と連携させたり、万一の非常時には自動で蓄電池からの電力供給をスタートすることができます。ポータブル蓄電池と比較すれば、大きくて重量のある設備になりますので、持ち運びなどはできませんが、蓄電容量が大きいため、導入する機種によっては停電時でも2日以上生活に必要な電力の供給が可能になります。また、普段の生活の中でも、夜間電力を充電し昼間に貯めた電気を使う、昼間に太陽光発電の余剰電力を蓄えておき、夜間にその電気を使うなどといったサイクルを作る事で、大幅な電気代削減も可能になるのです。
このように、家庭用蓄電池は、災害による停電時でも、家族の生活を守るための非常用電源として活用でき、さらに日常生活の中でも省エネ設備として活用できるというのがメリットになるのです。「災害による停電に備えたい…」と考えている方にとっては非常にオススメな設備です。

太陽光発電と連携させればさらに安心!

家庭用蓄電池は、「電気を蓄えておくことができる設備」ですので、万一災害による停電が発生した際には、蓄電池から電力の供給ができるようになり、冷蔵庫や照明、情報収集のためのテレビやスマートフォンの充電など、さまざまな場面で役に立ってくれるのです。そのため、自然災害対策として家庭用蓄電池の導入に踏み切る方が増えているのです。

しかし、蓄電池は、機種によって蓄電容量というものが決まっています。蓄電容量は、蓄えておくことができる電気の量のことで、当然貯めていた電気を使い切ってしまうと、家電製品は使えなくなってしまいます。蓄電容量は、導入する機種によって異なりますので、災害時にどの家電を使用したいのか、何日の停電を想定しておくのかによって蓄電容量の大きさを選ぶと良いでしょう。

なお、太陽光発電がすでに導入されているご家庭であれば、蓄電池と連携させることで、万全な停電対策を行うことができるようになります。上でも少し触れましたが、「太陽光発電+蓄電池」という体制にしておけば、昼間に発電した電気のうち余剰分を蓄電池に充電し、それを夜間に使用するというサイクルを作る事ができます。したがって、万一の停電でも蓄電池の電気を使い切ることがなく、普段と変わらない生活を守る事すらできるのです。
さらに、固定価格買取制度(FIT)が終了する10年を過ぎたご家庭であれば、太陽光発電の売電価格が大幅に下落してしまうことになります。卒FIT後は、電力会社から電気を購入する買電価格よりも大幅に安い売電価格となってしまうため、太陽光発電の電気は自家消費にするのが効率的と言われているのです。家庭用蓄電池があれば、災害時以外にも、太陽光発電の余剰電力を活用できるようになり、大幅な電気代削減を目指すこともできるでしょう。

普段から行いたい停電の備えは?

それでは最後に、普段から行っておきたい停電の備えもご紹介しておきましょう。地震に関しては、『いつ・どこで』発生するのか、さまざまな技術が進歩した現在でもわかりませんが、台風についてはかなり前からその規模や進路、想定される被害などを予測することができます。
災害はさまざまな被害をもたらせてしまいますので、普段から可能な限り準備を進めておきましょう。

食料・飲料水の備蓄

自然災害は、その規模が大きければ大きいほどさまざまな被害が生じてしまいます。そして、場合によっては、近くのスーパーやコンビニなどにも大きな被害が出てしまい、食料や飲料水を手に入れることも難しくなってしまうのです。こういった大規模災害では、避難所などが開設され、ある程度の食料を提供してもらうことができますが、多くの人間が避難してくる場合、物資が不足してしまうことも珍しくありません。全国から支援物資が送られてくるにしても、それらが揃うには1週間程度かかってしまいますので、ご家族が数日間過ごせるだけの食料・飲料水の備蓄は行っておきましょう。
災害時の非常食や飲料水は、3日分を最低限とし、可能であれば1週間分を用意しておくのが望ましいと言われています。また、食料に関しては、そのまま食べられる、水があれば食べられるなど、調理が必要ない物にしましょう。

参考:災害時の備蓄について

衛生・体調管理のためのもの

大規模災害時には、電気やガス、水道などのライフラインがストップしてしまうため、満足にお風呂に入ることも難しくなります。そのため、衛生状況の悪化から体調を崩してしまう方も多いのです。
小さなお子様や高齢者など、免疫力が弱いご家族がいるご家庭であれば、ウェットティッシュや除菌スプレーなど、衛生状態を保てるようなアイテムを備蓄しておくのがオススメです。また、薬などが手に入りにくい状況になることもありますので、普段から服用している薬は必ず持ち出せるように準備しておきましょう。
他にも、携帯式の扇風機やカセット式のストーブなど、真夏や真冬の停電生活の備えも大切です。

電池やモバイルバッテリー

災害時は、懐中電灯やラジオなど、電池を使用する機会が非常に多いです。したがって、万一の停電対策のため、必要な規格の電池を多めに準備しておくと良いでしょう。最近では、日常生活の中で電池を使用する機会が少なくなってしまったため、備蓄している家庭が少なくなってしまい、災害時に困ってしまう…なんてことが多いようです。使用期限などもありますが、可能な範囲で準備しておくと良いでしょう。
また、災害時の情報収集に携帯電話が非常に役に立ちますので、電池切れの心配をしなくて良いように、モバイルバッテリーを用意しておくと良いでしょう。

台風直前に行っておきたい対策などは別の記事でもまとめていますので、ぜひそちらもご参照ください。

関連記事:台風シーズンはすぐそこ!家族の安全のためにおさえておきたい台風対策

まとめ

今回は、地震や台風などの自然災害で引き起こされる停電について、ご家族の安全を守るためにどういった停電対策があるのかについてご紹介してきました。記事内でも触れましたが、私たちの生活を考えた場合、今や電気の存在は必要不可欠と言って良く、災害などで停電が発生した場合には、日常生活を送る事すら難しい状況に陥ってしまうことになるのです。

しかし、日本に住む限りは、こういった災害による停電被害を無視することはできず、毎年必ずと言って良いほど、どこかで停電被害が発生してしまっています。特に近年では、台風や地震だけに関わらず、夏場の集中豪雨による水害も増加しており、日本全国どこに住んでいても災害への備えは絶対にしておかなければならないのです。
こういった状況もあり、ここ数年一気に注目度が高くなっているのが家庭用蓄電池です。販売開始当初は非常に高額な設備だったため、なかなか普及が進まなかったのですが、ここ数年で安価なモデルの登場し、一気に販売台数が増えていると言われています。さらに、政府による補助金なども充実してきていますので、災害による停電対策を検討している方がいれば、家庭用蓄電池の導入を考えてみても良いのではないでしょうか。