家庭用蓄電池の設置場所を考える!どこに設置しても良いわけではないのです
今回は、家庭用蓄電池の導入を検討している方のために、蓄電池の設置場所を選ぶときのポイントをご紹介したいと思います。
蓄電池は、一昔前までは産業用のバックアップ電源として利用されてきたものですので、家庭用として販売され始めた当初は、それなりの大きさのものがほとんどで、設置のために大きなスペースが必要になる…ということがネックとなることも珍しくありませんでした。しかし、一般住宅用の蓄電池が広く普及し始めた近年では、10社以上のメーカーが家庭用蓄電池の開発・販売を手掛けるようになっており、家庭用蓄電池の小型化・高性能化がどんどん進んでいるのです。特に最近では、屋内に設置することを考えられた蓄電池も登場しており、壁掛けで設置できるタイプや屋内の小さな空きスペースでも設置できるような小型蓄電池も多く登場しています。そのため、今までは「蓄電池を導入したくても、設置スペース的な問題で無理…」などと諦めていたご家庭でも、問題なく導入を進めることができるようになっているのです。
しかし、いくら壁掛けや省スペースでの設置が可能な家庭用蓄電池でも、「どこに設置しても構わない!」という訳ではなく、設置するためにはいくつか注意しておかなければいけないポイントも存在しているのです。そこで今回は、家庭用蓄電池の導入を決めた方が、蓄電池設置のために最適な場所を見つけるために知っておきたいポイントをいくつかご紹介していきたいと思います!
蓄電池を設置するための条件
それではまず、家庭用蓄電池全般について、蓄電池の設置場所として最適なスペースを見つけるためにおさえておきたいポイントをご紹介していきます。
太陽光発電設備を導入しているご家庭が増加した最近では、太陽光発電と蓄電池を連携させ家計にかかる電気代の削減を目指すことや、自然災害時の大規模停電に備えるなどの目的で、家庭用蓄電池を導入する方が増加しています。そこで最近では、家庭用蓄電池の需要の高さから、多くのメーカーから非常に豊富な種類の蓄電池が登場しており、屋内の空きスペースなどで基礎工事の必要もなく設置できるタイプも販売されるようになっているのです。
しかし、こういった家庭用蓄電池に関して、屋内・屋外、どちらに設置することを考えた場合でも、「設置に適している条件」というものが存在しており、蓄電池を購入する場合には、ある程度設置場所を絞り込んでおく必要があるのです。ここでは、一般的な家庭用蓄電池全般に言える『蓄電池を設置するための基本条件』を簡単にご紹介しておきます。
- 日射条件について
直射日光が当たらない場所が適しています。屋外設置する場合、北側に面した場所に設置するのが基本です。 - 温度条件について
寒冷地などでは、気温の低さが装置停止トラブルの原因になります。屋外設置の場合は、何らかの対策が必要となります。 - 雨などの天候条件について
屋外設置可能なタイプであれば、雨が当たる場所でも問題ありません。ただし屋内設置タイプは、雨による故障がありますので屋外に設置できません。 - 塩害条件について
重塩害地域、塩害地域の場合、メーカーによっては設置不可となります。 - 積雪条件について
性能劣化の原因となります。屋外設置の場合、基礎の嵩上げや軒下設置などの対策が必要となります。 - 換気条件について
空気が滞留しない密閉空間への設置は好ましくありません。 - 火災条件について
蓄電池は近くで火を使う場所への設置には適していません。
蓄電池の大きさや重さを忘れてはいけない
次に考えておきたいのは、蓄電池本体の大きさや重さについてです。ここ数年で一気にその需要が高くなっている家庭用蓄電池ですが、名称に「家庭用」という言葉がついているため、「大した大きさや重さなんてなく小さなものだろう…」と考えている人も多いのです。しかし、家庭用蓄電池というものは、小型化が進んでいるものの、決して小さな設備ではないのです。購入するタイプによっては、重量が100kgを余裕で超えるようなものもあり、積み下ろしにクレーンを必要とするようなものもあるのです。
以下で、主要メーカーの家庭用蓄電池の大きさと重さをご紹介しますので、参考としてください。
メーカー・機種 | サイズ | 重量 |
---|---|---|
オムロン「KP-BU65-A」9.8kWh | 蓄電池ユニット(W/H/D) 452×542×228mm | 約78kg |
スマートスターL 9.8kWh | 蓄電池ユニット(W/H/D) 762/440/1145mm | 約195kg |
ニチコンESS-U2M1 11.1kWh | 蓄電池ユニット(W/H/D) 1060×1250×300mm | 約182kg |
Looop LP-PKG-HN0101 4kWh | 蓄電池ユニット(W/H/D) 476/850/305.5mm パワコン(W/H/D) 487/681/200mm |
パワコン質量 約30kg 蓄電池質量 約85kg |
東芝 ENG-B7430A5-N1 7.4kWh | 蓄電池ユニット(W/H/D) 780×300×910mm | 約138kg |
上表の通り、家庭用という名称がついている蓄電池であっても、それなりのサイズと重量を持っているのです。特に、機種によっては200kg近い重量があるタイプも存在していますので、そういった物を導入する場合には、転倒事故を起こさないためにも、蓄電池を設置するための基礎工事が必要になるのです。家庭用蓄電池の設置場所については、なかなか自分だけで判断するのも難しいですので、専門業者に相談するのがオススメだと思います。
屋内設置タイプでも適した条件が存在します!
それでは最後に、屋内設置タイプの蓄電池を導入する場合に注意しておきたいことも簡単にご紹介しておきます。屋内に設置する場合、塩害や天候条件などの心配もありませんし、それこそ「どこに置くのも家庭が勝手に決めればよいのでは?」と思ってしまう方が多いことでしょう。
しかし、屋内だとは言え、ホコリや湿気が多くなる場所もありますので、蓄電池をできるだけ長く使用したいと考えるのであれば、きちんと蓄電池の設置に適した場所を選ばなければいけないのです。ここでは、蓄電池の最適な設置場所を選ぶため、「設置に適した条件」と「適さない条件」両面をご紹介しておきます。
なお、壁掛け設置タイプは、通常よりも軽量化されていますが、それでも数十kg程度の重量がありますので、壁が蓄電池の重みに耐えられる強度を持っているのかをきちんと調べておく必要があります。導入後に、蓄電池の重みに耐えられず、蓄電池が落下してしまった場合、蓄電池が故障するだけでなく、内装リフォームを入れなければならなくなるなど、余計なコストがかかるリスクが出るのです。
まとめ
今回は、蓄電池の導入を検討している方であれば、ぜひ押さえておきたい蓄電池の設置場所に関する基礎知識をご紹介しました。家庭用蓄電池は、全国で頻発する自然災害への備えとしてや、より効率的な電力利用を実現する目的などで、年々その需要が高くなっています。特に太陽光発電設備などを既に運用している方であれば、固定価格買取制度終了を機に、今まで売電していた電気を自家消費に回すことを考え、家庭用蓄電池の導入を検討するという方は非常に多いのではないでしょうか。しかし、家庭用蓄電池は、「何のために導入するのか?」ということも非常に重要なのですが、そもそも「どこに設置するのか?」ということも忘れてはいけないのです。
的確な運用を行えば、家庭の光熱費を大幅に下げてくれることや、太陽光発電と組み合わせて電気の自給自足を実現できるなど、非常に多くのメリットをもたらせてくれる蓄電池ですが、設置場所として適さない条件に設置してしまうと、本来その蓄電池が持つ耐用年数よりもかなり短い期間で故障してしまう危険もあります。蓄電池を導入するためには、100万円近い費用が必要になることも珍しくありませんし、決して安い買い物ではないので、「できるだけ長く利用するにはどこに設置すれば良いのか?」という視点を持つことも重要になるはずですよ!