エコキュートが故障してしまった…実は火災保険を適用できる場合があるってご存知ですか?
今回は、近年家庭の給湯システムとして非常に高い人気を誇っているエコキュートに関して、万一エコキュートが故障してしまった際に、できるだけ自己負担もなしに修理するために知っておきたい情報をご紹介します。
エコキュートとは、エアコンなどにも利用されているヒートポンプ技術を利用して、空気中の熱を効率よく利用してお湯を作るというシステムになっていることや、安い夜間電力を利用してお湯を作り置きしておくという構成上、他の給湯システムと比較しても、大幅に給湯コストを削減できると言われ、年々導入する方が増加しています。エコキュートの導入コスト自体は、ガス給湯器を導入するよりも割高になり、安いものでも30万円程度から、高いものになると100万円程度にまでなるものもあります。
このような高額な給湯システムですし、誰もができるだけ長く利用したいと考えており、万一故障が発生した場合には非常に困ってしまうことになるでしょう。特にエコキュートの修理に関しては、故障個所によっては非常に高額になってしまうことも珍しくなく、災害などで故障してしまった場合には、家計への負担が非常に大きくなってしまうのです。
そこで知っておきたい知識として、エコキュートが何らかの理由で故障した場合、その修理費用に火災保険が適用できる場合があるということです。火災保険は、その名称通り、「火事に対する保険」だとイメージしている人が多いのですが、実は非常に幅広い補償範囲を持った心強い保険となっているのです。今回は、エコキュートの故障と火災保険の関係について簡単にご紹介します。
エコキュートの修理に火災保険が適用できる?
それでは、エコキュートの修理に火災保険が適用できる理由を簡単にご紹介しておきましょう。冒頭でご紹介したように、火災保険はその名称から、万一住宅火災が発生してしまった場合に、その被害を補償してくれる保険だとイメージしている人が多く、エコキュートの故障に「なぜ火災保険が関係するのか?」と疑問に思う方も少なくないと思います。
しかし、火災保険というものは、非常に幅広い補償範囲を持っており、台風などによる強風の被害や、落雷による家電の故障、窃盗による被害などの補償もしてくれるのです。実際に、毎年のように発生する台風による屋根被害を、火災保険を利用して修理できるということは、屋根業界では有名な話になっています。これと同様に、エコキュートの故障に関しても、火災保険を適用できる場合があるのです。
火災保険を利用できるエコキュートの故障とは?
それでは、エコキュートの故障がどのような場合であれば、火災保険を適用できるのか見ていきましょう。当然、何の条件もなくエコキュートの修理に火災保険が適用できるという訳ではなく、いくつかの条件を満たしていなければいけません。
そもそもエコキュートの修理に火災保険が適用できる理由は、エコキュートが火災保険の『建物』の契約で補償対象になるからです。一般的に、エコキュートは建物に付属した電気的設備として、屋外などに取り外しができないような形で設置されるのが普通です。そのため、エコキュートは『建物』の扱いを受けるようになるため、火災保険の適用が可能なのです。なお、この辺りは、保険会社によって取り扱いが違う場合もあるため、念のためご加入の保険会社に確認しておきましょう。
また、エコキュートの故障に火災保険を適用する場合には、「風災補償などの特約が付いているのか?」ということも重要です。例えば、台風などの強風で飛ばされてきたものがエコキュートにぶつかり故障した…などと言った場合、風災という扱いになるのですが、風災補償を使うには基本の火災保険に『風災補償』の特約が付いていなければいけません。最近の火災保険であれば、スタンダードな状態でも風災補償が付帯されているのが普通ですが、住宅ローンを組むために加入する火災保険の場合、特約が付いていない場合もあるのです。この辺りの、ご自身が加入している火災保険の補償範囲もこの機会に詳しく調べておくのがオススメです。
それでは、どういった被害の場合、エコキュートの修理に火災保険を適用できるのでしょうか?以下でいくつかの参考事例をご紹介しておきましょう。
- 火災でエコキュート損害がでた
- 落雷による過電流などでエコキュートが故障した
- 台風の強風でエコキュートが転倒して故障した
- 強風によって飛ばされてきたものがエコキュートにぶつかり故障した
- 屋根からの落雪でエコキュートが故障した
- 雹が降ったことによりエコキュートが故障した
- 洪水でエコキュートが水没し故障した
- エコキュートが盗まれた
- 子供が庭で遊んでいて、ボールがぶつかりエコキュートが故障した etc
火災保険の適用を考えた時の注意点
ここまでで、エコキュートが故障してしまった場合、その修理に火災保険を適用できる場合があるということについては分かりましたね。それでは、実際に火災保険を適用しようと考えた場合の注意点もいくつかご紹介しておきましょう。
経年劣化による故障は保険対象外
火災保険は、『不測かつ突発的な事故』が原因となり、住宅に発生した何らかの被害を補償してくれるものです。わかりやすいところでは、「台風で屋根材が飛ばされた…」「窓ガラスが何者かに割られた…」などと言ったものです。
したがって、エコキュートが故障して修理が必要になった場合でも、その原因が経年劣化による故障と判断される場合には火災保険が適用できないのです。エコキュートのような住宅設備は、毎日使用するものとなりますので、経年劣化で配管が割れてしまい多額の修理費用がかかる…なんて場合には保険を利用することができないと覚えておきましょう。
ただし、こういった高額な住宅設備となると、メーカーによる保証が必ずついていますので、保証期間内であれば特に問題はないでしょう。
地震が原因の場合は火災保険対象外
『不測かつ突発的な事故』が原因といっても、その原因が地震によるものであれば、火災保険の対象外となってしまいます。これは、地震による被害は、非常に大規模になりやすいことから、火災保険の適用内としてしまうと、保険会社の支払い能力を超えてしまう恐れがあるからです。したがって、地震による被害にまで備えたい…と考えるのであれば、火災保険に加える形で地震保険に加入しておく必要があります。
しかし、地震保険に加入しており、地震保険の建物の契約があっても補償を受けられない場合が多いので注意が必要です。なぜかと言うと、地震保険というものは、損害状況に応じて全損・大半損・小半損・一部損の判定を受け、その損害の程度に対応する割合の保険金を支払うという形となるからです。したがって、地震の揺れによってエコキュートのみが転倒して故障した…という場合、それだけでは補償を受けられない可能性が高いのです。
水害による補償は基準がある
近年増加している洪水被害など、水害によってエコキュートが故障してしまった場合、水害補償による保険適用になります。しかし、火災保険の水災補償には支払基準が存在しており、その基準に満たなければ補償を受けることができないという決まりがあるので注意しましょう。基本的な水害補償の基準は以下のようになっています。
- 建物(家財)の保険価額に対して30%以上の損害を受けた場合
- 「床上浸水」または「地盤面から45cmを超える浸水」によって損害が生じた場合
ただし近年では、豪雨や台風による河川の氾濫など、水害による住宅の機械設備に被害が出てしまうケースが非常に多くなっています。このような状況もあり、水害による損害の程度に関わらず、特定の機械設備の補償を行う特約を作る保険会社が増加しているのです。したがって、オール電化などを導入しており、電気的な機械設備を多く導入しているというご家庭であれば、保険会社が作っている設備的な特約を詳しく調べておくのがオススメです。
まとめ
今回は、エコキュートが何らかの理由で故障してしまった場合、その修理をできるだけ自己負担なしに行うにはどうすれば良いのかについてご紹介しました。本稿でご紹介したように、住宅火災に対する保険と考えられている火災保険ですが、実は補償範囲が非常に幅広く、自然災害や盗難被害に遭った場合でも利用できる物なのです。もちろん、どのようなエコキュートの故障にも火災保険が適用できるわけではありませんが、ご自身が加入している保険の適用範囲に入っているのであれば、申請さえすればエコキュートの修理を0円で行うことも可能になるのです。
火災保険の注意点に関しては、風災補償や雪災補償などの特約が付いていない場合も少なくないということです。したがって、故障してから初めて保険を確認したのでは、風災補償の特約が付いていなくて、保険を適用できなかった…なんてことになる場合もあります。まずは、ご自身が加入している火災保険の内容を確認しておくのがオススメです。よくわからない場合、保険会社に連絡すれば丁寧に教えてくれると思います。