年々普及が進む太陽光発電!実際に導入する前におさえておきたいデメリットをご紹介!

今回は、太陽光発電システムの導入を検討している方のため、設置前におさえておきたい太陽光発電システムのデメリットをご紹介したいと思います。

太陽光発電協会(JPEA)が公表したデータによると、2019年時点で太陽光発電の普及率は9%に達したと言われています。太陽光発電の普及率の調査については、1990年代から行われているのですが、毎年右肩上がりで普及率が伸びています。これは、脱炭素社会を目指すという世界的な流れもあり、国や地方自治体なども太陽光発電システムの普及推進に力を入れている事が大きな要因でしょう。
特に、『固定価格買取制度(FIT)』と呼ばれる、自家発電した再生可能エネルギーを高額で電力会社に買い取ってもらえる仕組みが存在していることもあり、太陽光発電の設置にかかるコストは、FIT期間の10年があれば余裕で元が取れると言われています。最近では、電力会社の買取価格が下がっていることから、「太陽光発電の導入はやめた方が良い…」なんて話を耳にするようになっていますが、これは大きな間違いなのです。そもそも、FIT制度については、太陽光発電の普及推進のため、「設置にかかるコストを取り戻すことができるように!」という計算のもと、行われているものです。近年、電力会社の買取価格が下がっているのは、単純に太陽光発電システムの設置コストが下がってきたためで、現在でも設置にかかるコスト以上の投資効果が十分にあると言われているのです。

ただし、太陽光発電システムの設置には、いくつか注意しておかなければならないポイントがあるのも事実ですので、ここでは、太陽光発電の導入によるデメリット面を中心にご紹介します。

太陽光発電導入のデメリットとは?

それでは、投資効果などを見込んで、太陽光発電システムの導入を行う場合、どのようなデメリットが考えられるのかもご紹介していきましょう。現在、太陽光発電の導入をご検討中の方は、絶対におさえておきたいポイントですので、以下にご紹介する内容は頭に入れておきましょう。

デメリット① 導入に多額のコストがかかる

まずは、設置コストの問題です。住宅用の太陽光発電システムでも、実際に導入する場合には、100万円以上の設置費用がかかるのが普通です。例えば、経済産業省資源エネルギー庁が公表している、現在の住宅用太陽光発電の相場価格と平均設置容量では、

太陽光発電 2021年の相場価格 (住宅用)
設置容量・・・5.00kW
設置費用・・・137.5万円
1kWあたりの価格・・・27.5万円/kW
参考:経済産業省 第67回調達価格等算定委員会委員長案より

上記のようになっています。
太陽光発電システムの設置コストに関しては、年々下がってきていると言われるものの、それでも100万円以上のコストが一般的なのです。もちろん、国や地方自治体などが行っている補助金などを利用すれば、負担を少なくすることもできますが、決して安くない費用がかかるということは覚悟しなければいけません。

デメリット② ランニングコストもかかる

太陽光発電システムについて、多くの方が勘違いしていることで「太陽光発電はメンテナンスフリーだ!」というものがあります。つまり、太陽光発電は、設置コストさえ支払えば、後は発電した電気で収入を得るだけだと考えているわけです。

しかし、この考え方は大きな間違いで、太陽光発電の十分な発電量を保つことや長持ちさせるためには、定期的なメンテナンスが欠かせません。例えば、経済産業省などでは、「発電量の低下や機器類の故障がないかを確認するため、4年に一度の定期点検を行う」ことを推奨しています。
この他にも、太陽光発電のパネルは25年程度の耐用年数があると言われているものの、電気を変換するパワーコンディショナは15年前後で交換が必要とされています。つまり、太陽光発電システムが寿命を迎えるまでには、最低1回はパワーコンディショナの交換が必要になるわけです。

例えば、経済産業省が推奨する定期メンテナンスと、パワーコンディショナの寿命による交換を想定しておけば、設置後も30万円前後(20年間を想定)のランニングコストが必要になると考えられれます。多くの方は、このランニングコストを見落としてしまっていますので、絶対に覚えておきましょう。

デメリット③ 発電量が天候に左右される

太陽光発電は、日射を電気に変換するシステムですので、発電量は日射量が大きな影響を与えます。つまり、悪天候時には著しく発電量が落ちてしまう訳です。また、冬場は、季節的な問題で晴れた日が多くても、日照時間が少ないため、他の季節よりも発電量が少なくなってしまいます。

太陽光発電システムの打ち合わせ時には「悪天候が続いたらどうなるの?」と言った質問を受けることも多く、お客様も「太陽光発電は発電量の不安定さが弱点」と捉えている方が多いように思えます。ただし、この部分に関しては、筆者はそこまで気にしなくても良いのではないかと考えています。そもそも、太陽光発電の投資効果などは、1日や2日で考える物ではなく、数年単位で考えるべきものです。また、1年を通して考えてみれば、日射量はそこまで大きく変化するようなこともなく、それなりに安定した売電収入を期待することはできます。

デメリット④ 建物へ負荷がかかる

太陽光発電システムは、基本的に住宅の空きスペースとなっている屋根にパネルを設置するのが普通です。そして、屋根に設置されるパネルに関しては、標準的なもので1枚当たり約15kgの重さがあります。平均的な住宅用太陽光発電であれば、20枚程度のパネルを設置することになりますので、屋根の上に約300kgの異物を設置することになるのです。これだけで、住宅にそれなりの負荷がかかってしまう…というのは分かっていただけると思います。当然、何も設置していない屋根と比較すれば、負担は大きくなってしまう訳です。

最近では、屋根重量が重くなってしまうと、建物の耐震性に悪影響を与える…という情報もありますので、太陽光発電の設置は住宅にとって明確なデメリットになることは間違いありません。ただし、『約300kg』という重量で、「建物の耐震性に致命的なのか?」というとそうではないので安心しましょう。近年では、軽量な屋根材が採用されることが多く、しっかりとした建物であれば、太陽光発電の影響はそこまで大きくありません。
なお、旧耐震基準の時代に建てられた、築年数が経過した建物の場合は、現在の耐震基準を満たしていないことも考えられます。このような場合は、太陽光発電の導入前に耐震調査をしておくのがオススメです。

デメリット⑤ 住宅によっては導入に不向きな場合がある

ここは絶対におさえておきたいポイントです。上述したように、太陽光発電は、日射量によって発電量が大きく左右されてしまいます。つまり、家の向きなどによっては、日当たりが悪すぎて、太陽光発電の設置に向いていない場合があるのです。

住宅リフォーム業界は、古くから飛び込み営業を行う悪徳業者の被害が多い業界です。実は、太陽光発電もこれと同じく、本来は太陽光発電の設置に向いていないにもかかわらず「何の問題もなく売電収入を得られます!」など、詐欺のような営業トークで設置してしまう業者がいるのです。したがって、太陽光発電システムの導入を検討した場合、まずは自宅の条件で十分な発電量が得られるのかをきちんと調査をしてから話を進めるようにしましょう。一般的に、以下のような条件は太陽光発電の設置に向いていません。

  • 北向き1面の片流れ屋根など、屋根の日当たりが少ない
  • 屋根面が極端に小さい
  • 沿岸地域で塩害の危険がある住宅
  • 冬場の積雪量が多い地域

太陽光発電は、自然の日光を電気に変換するシステムですので、住宅の周辺環境が発電量に影響してしまう可能性があります。最近では、塩害や積雪の対策を施されたものも存在しますが、本当に投資するメリットがあるほどの発電量になるのか、キチンと調査してからにしましょう。

デメリット⑥ 近隣トラブルの危険が…

太陽光発電システムの普及率が高くなることに伴って、パネルが反射する光で「眩しい…」「暑い」などと言われ、近隣トラブルに発展してしまうという事例が多くなっています。太陽光パネルの反射光トラブルは、ほとんどの場合、屋根の北面にパネルを設置した場合に起こっています。これは、北側にパネルを設置した場合、南方向から太陽光が差し込んでしまい、斜め下方向に光を反射してしまう…というのが原因と言われています。

逆に言えば、このデメリットは、屋根の北面にパネルを設置しなければ、近隣トラブルの心配はほとんどないと言えます。そもそも、屋根の北面は、発電量も他の面よりも少なくなりますので、トラブルの事を考えると設置するメリットがあまりありません。したがって、太陽光発電の導入をする場合には、『東・西・南面』にパネルを設置するというのを基本とするのがオススメです。

デメリット⑦ 施工不良などによる雨漏りリスクがある

上述したように、太陽光発電システムは、基本的に屋根にパネルを設置して発電を行うという仕組みです。つまり、太陽光発電の施工には、屋根に関する知識も必要になるわけです。

例えば、屋根に関する知識をあまり持っていない業者に施工を依頼してしまうと、パネルを固定するためのビス穴の雨仕舞が不十分で雨漏りに発展してしまう…なんてリスクがあるのです。実際に、太陽光発電の設置後に雨漏りが始まった…というトラブルは非常に多いと言われています。こういった住宅設備は、メーカーが定める施工基準から外れた工事が行われてしまった場合、メーカー保証の対象外になってしまう危険すらあります。したがって、太陽光発電の工事を依頼する業者選びは慎重に行うようにしましょう。

業者選びの際は、ホームページなどを確認して、豊富な施工実績を持っているのか、SNSなどで業者名で検索し、悪評が多くないかなどを確認しましょう。なお、同じ地域で長く活動している会社などは、それだけである程度の信用性があると言えます。

まとめ

今回は、年々普及率が高くなっている太陽光発電システムについて、実際に設置する前に知っておきたい太陽光発電のデメリット面に関してご紹介してきました。太陽光発電は、多額の設置コストがかかるものの、FIT制度などがあることから、基本的には投資効果が非常に高い住宅設備だと言われています。

さらに近年では、自然災害による停電対策に非常に有効なことや、オール電化との相性が良い点がメリットと捉えられており、導入を検討する方が増えているのです。しかし、どのような住宅設備でも、何のデメリットもないということはありませんので、本当に導入するかは、メリット面だけでなくデメリット面も総合的に考えなければいけないのです。

この記事では、太陽光発電の導入に関する代表的なデメリットをご紹介していますので、ぜひ頭に入れておきましょう。