太陽光発電はメリットばかりじゃない!導入前に知っておきたい太陽光発電のデメリット

近年では、建売住宅などに太陽光発電が標準装備されている場合もあるなど、街中を歩いている時に「最近太陽光発電を導入している家が増えたな。」と感じることも多いことでしょう。実際に、現在でも毎年約20万世帯が太陽光発電の導入に踏み切っているとも言われており、まだまだ今後もその普及率は高くなっていくと予想されています。それでは、なぜここまで太陽光発電の普及が進んでいるのでしょうか?

太陽光発電は、発電の際にCO2を排出しないクリーンなエネルギーのため、「環境にやさしい」という大義名分があるのですが、実は太陽光発電を導入するお宅の多くは「お得だから!」というメリットを重視しています。近年では、太陽光発電の売電価格が下落していることから「今さら導入しても意味がない…」なんて考えている人も多いかもしれません。しかし、売電価格を決めている固定価格買取制度(FIT)というものは、最新の設備設置にかかる費用相場を反映し、投資効果が得られるだけの売電価格に設定されるようになっていますので、標準的な太陽光発電設備の設置であれば、現在でも十分な投資効果があるものなのです。実際に、FITが作られた時代と比較すれば、太陽光発電設備の導入コストは大幅に下落しており、同じようなシステムを導入したとすれば、100万円近く設置相場が安くなっていると言われています。

このように、現在でもその投資効果が十分だと言われている太陽光発電ですが、実際に導入する場合にはいくつかの注意点が存在するのです。太陽光発電は、導入コストが下がってきたものの、それでも決して安い住宅設備とは言えないのが実情です。そのため、太陽光発電の営業時にはメリットばかりが説明されて、デメリットを無視したまま契約して、数年後に「設置するんじゃなかった…」と後悔してしまう人もいるのです。
そこでこの記事では、太陽光発電の設置を検討している方のため、事前に知っておきたい設備的なデメリットをご紹介していきます。

太陽光発電はデメリットも少なく無い!

太陽光発電設備は、「環境に優しい」「売電収入が得られる」「電気代削減効果が高い」「災害対策に有効」など、さまざまなメリットが知られています。特に最近では、オール電化住宅が増えていることから、生活に必要になる電気を自家発電できる設備は非常にありがたいものになるのです。さらに、家庭用蓄電池を導入すれば、日常生活にかかる電気代を0円にすることも不可能ではない…などと言われており、非常に経済性の高い住宅設備として人気なのです。

こういったメリット面だけを考えると、太陽光発電設備は導入してしかるべきだ…と考えてしまうものですね。しかし、導入後に「設置するんじゃなかった…」と後悔してしまう人も意外に多いと言われています。現在、太陽光発電の導入を検討中の方がいれば、以下のデメリット面もしっかりとおさえておきましょう!

デメリット① 導入費が高い

ひと頃に比べれば、太陽光発電設備の設置コストはかなり下落していると言われています。しかし、誰でも気軽に導入できる程度の金額か?と言われると、そうでもないのです。

設置コストが下がったと言われる太陽光発電ですが、実際に導入するためにはほとんどの場合、100万円以上の設置費用がかかってしまいます。経済産業省資源エネルギー庁の資料によると、現在の太陽光発電設備の平均的な設置容量と相場価格は以下のようになっているのです。

太陽光発電の設置費用相場
平均設置容量【5kW】 ⇒ 設置費用相場 145万円(1kW当たり29万円)

これからも分かるように、設置コストが下落したと言われる太陽光発電設備ですが、それでも決して安いとは言えないようなコストがかかってしまう訳です。なお、補助金やソーラーローンの活用で負担を減らすことも可能ですが、設置にはそれなりのコスト負担を覚悟しなければならないと考えておきましょう。

デメリット② メンテナンスに手間とお金がかかる

この部分が抜け落ちてしまっており、後悔してしまう人は多いです。太陽光発電設備は「メンテナンスフリーだ」などと言われることもあり、ランニングコストがかからないと認識している人がいるのですが、メンテナンスは必要不可欠です。

実際に、経済産業省などでは、発電効率の低下や機器の故障の有無を確認するため、最低でも4年に1度は点検するようにと推奨しているのです。他にも、庭に屋根より高い木がある…山に面して家が建っているといった場合、落ち葉などがパネル上に溜まってしまい、発電効率が落ちる…なんてことがありますので、定期的に清掃してあげる必要もあるのです。つまり、太陽光発電設備は、設置すれば後は勝手に発電してくれるような設備ではなく、定期的に手間をかけてメンテナンスしてあげなければいけないのです。

さらに、太陽光パネルは20~25年(国内メーカー)の発電保証がされているものが多く、中には40年以上も発電可能と言われる製品があるのですが、設備の心臓部分であるパワーコンディショナは10~15年が耐用年数なのです。したがって、太陽光発電を20年間設置して発電する場合を考えると、パワーコンディショナは1度交換する必要があるのです。経済産業省などが推奨するメンテナンスをきちんと行う想定にすると、約30万円のメンテナンスコストがかかってしまいます。
「太陽光発電はメンテナンスフリーだ」と考えている人にとっては非常に大きなデメリットになります。

デメリット③ 安定して発電することができない

太陽光発電というものは、日射を電気に変換するシステムです。つまり、日射が少ない悪天候時や夜間などは発電することができないのです。

太陽光発電さえ導入していれば、日常生活で使用する電気全てを自家発電できる…なんて考えているのであれば大間違いです。太陽光発電の発電量は天候によって左右されてしまうので、悪天候時は発電量が極端に落ちてしまいます。また、晴れた日が多くても、日照時間が少ない冬場などは、発電量が全体的に少なくなるのです。
そのため、太陽光発電を導入していたとしても、電力会社との契約はそのままで、普通に買電が必要と考えておかなければいけません。なお、太陽光発電の導入メリットに関しては、年単位で考えるべきものですので、短期的に雨の日が続いたからと、導入を後悔する必要はありません。年間にならしてみると、発電量は毎年そこまで大幅に変わるものではありません。

デメリット④ 建物の負担になる

言い方は悪いですが、太陽光発電を導入するということは、余計なものを屋根の上に設置するということですので、パネルの重みが建物に負担をかけてしまいます。標準的な太陽光パネルは、1枚当たり15kg程度の重さになりますので、最も標準的な住宅用太陽光発電の設置パターン(20枚程度)であれば、屋根の上に約300kgの物を置くということになるのです。

もちろん、太陽光パネルの荷重が屋根の1点に集中することはありませんので、設置することで屋根が抜けてしまう…なんてことは考えられません。また、建物の構造にもそこまで大きな影響をあたえるものではないと思います。しかし、近年の住宅づくりでは「より軽量な屋根を作る」ということが主流になっているのです。これは、屋根の重量が重くなればなるほど、建物の重心が高くなってしまい、地震の揺れの影響が大きくなってしまうからです。つまり、旧耐震基準時代に建てられた住宅など、もともと耐震性能に問題があるような家であれば、耐震性能の悪化がかなりあると考えられるのです。
こういった住宅では、地震発生時に大きく建物が揺れてしまい、屋根材ごと太陽光発電設備が崩落してしまう…なんてリスクもあります。

デメリット⑤ 雨漏りリスクがある

太陽光発電の普及に比例して、太陽光発電設置による雨漏りトラブルが急増していると言われています。太陽光発電設備は、発電を担うパネルを屋根の上にビスや釘で固定するものですので、そのビス穴などから水が侵入して雨漏りが発生してしまうことがあるのです。もちろん、まともな業者が施工した場合には、設置用架台周りの防水処理もきちんと行いますので、本来太陽光発電の設置で雨漏りするようなことはないのです。

太陽光発電の設置は、技術を持った優良な施工業者に依頼することが非常に重要です。そうしなければ、上述のような雨漏りトラブルや電気系統のトラブルなどが発生してしまう危険があるのです。また、雑な工事をする業者に仕事を依頼してしまい、メーカーが定める施工基準から外れてしまった事により、保証対象外になってしまう…なんてこともあるようです。
太陽光発電の設置を検討した場合には、業者のHPなどで施工実績がきちんとあるのか、ネットで悪評がたっていないかなども確認しておくのがオススメです。

まとめ

今回は、年々導入する方が増えている太陽光発電設備について、導入前におさえておきたい太陽光発電のデメリットをご紹介しました。オール電化住宅が増加した近年では、太陽光発電の導入による光熱費削減効果が非常に高いとみられているため、後付けで太陽光発電の設置を行う方が非常に多くなっています。もともと、再生可能エネルギーの普及推進を政府が推し進めていたこともあり、上手に運用すれば導入にかけたコストも意外に簡単に取り戻せる設備というのが、ここまで普及した大きな理由になっているのだと思います。

しかし、太陽光発電は、メリットばかりの設備ではなく、本稿でご紹介したようなデメリットもたくさんある設備だということも忘れてはいけません。特に、営業時にはデメリット面を隠されて、導入してみたら想像していたものと全然違った…なんて後悔してしまう人も一定数いると言われていますので、本当に自分に必要な設備なのかは慎重に検討する必要があるでしょう。

なお、地震や台風、水害などによる停電被害が増加している近年では、災害による『停電対策』として太陽光発電の導入を決める方も多いです。しかし、太陽光発電は日射を電力に変換する設備ですので、長期的な停電があった際には、本当に電気が必要な夜間などには全く役に立たない設備となってしまいます。停電対策のためにと考えるのであれば、家庭用蓄電池も合わせて導入することがオススメです。蓄電池と連携させておけば、昼間に充電し、夜間は蓄電池から電力を供給するという体制が作れるため、停電が発生しても安心です。