マンションでエコキュートって使えるの?エコキュート設置時の注意点について
エコキュートは、光熱費削減効果が非常に高いため、戸建て住宅を中心に多くの家庭で導入が進んでいます。しかし、このエコキュートは、貯湯タンクとヒートポンプユニットが一体型となる給湯システムのため、広い設置スペースが必要になり、マンションなどの集合住宅では、エコキュートにしたくてもなかなか難しい…という現実があります。それでは、マンションに住んでいる限りは、絶対にエコキュートの導入ができない物なのでしょうか?
この問題については、近年集合住宅でのエコキュートの需要の高まりから、各メーカーもさまざまな対策を進めています。メーカーによっては、戸建て住宅向けのエコキュートを小型化し、集合住宅でも導入できるように開発を進めていたりするのです。そこで今回は、マンションにお住みの方で、エコキュートの導入を検討している方のため、導入の際の注意点などをご紹介していきたいと思います。
マンションにエコキュートを導入する問題点
それではまず、一軒家以外でのエコキュートの取り付けにどのような問題があるのかについてご紹介しましょう。冒頭でご紹介したように、エコキュートは貯湯タンクとヒートポンプユニットが一体となっている設備で、マンションで主流の給湯システムとなっているガス給湯器と比較すれば、圧倒的なスペースと必要とします。これだけを聞くと、「マンションではエコキュートは無理そうだな…」と考えてしまいそうですが、結論から言ってしまうと「取り付けることは可能だが、ハードルは一戸建てより高い」です。
それでは、マンションにエコキュートを導入する場合、現実的にどのような問題が発生するのでしょうか?一般的に考えられる問題点をいくつかご紹介しておきましょう。
- 設置スペースを確保できるのか?というスペースの問題
- エコキュートの動作音に騒音トラブルの問題
- 取り付け工事に関する問題
マンションなどの集合住宅にエコキュートの導入を考えた場合、上記の3つの問題をクリアしなければいけません。逆に言えば、これらの問題がクリアできるのであれば、何の問題もなくエコキュートの導入が可能になるのです。
以下でそれぞれの問題点についてもう少し詳しくみていきましょう。
設置スペース確保問題
まずは「設置スペースを確保できるのか?」という問題です。
上述しているように、エコキュートを設置するためには、貯湯タンクとヒートポンプユニットを設置できる場所が必要になるため、ガス給湯器を導入するよりもはるかに広いスペースを確保しなければいけません。最近では、1階部分の部屋に専用庭があるマンションなども増えていますし、こういったタイプのお部屋であれば何の問題もなく導入が可能です。しかし、単身タイプのマンションなど、ベランダも非常に狭い…といったお部屋になるとかなり難しいと言わざるを得ません。
メーカーによっては、集合住宅でもエコキュートの導入ができるように、小型化したエコキュートの開発を進めていますので、「少しスペースが心配だな…」という場合には、そういった機種の導入を考えましょう。つまり、スペース的な問題が存在しているのであれば、選択できるエコキュートの機種が制限される可能性があるということです。まずは、販売店などに連絡し、現地調査をしてもらうと良いでしょう。その上で、エコキュート設置の可否を聞いてみましょう。
なお、エコキュートを導入する場合には、耐荷重量のことも考慮しておかなければいけません。エコキュート本体の重量もそれなりの重さがあるのですが、システム上、お湯を貯めておくという給湯器ですので、満タンにお湯が溜まっている状況を考えると、300kg~600kg程度の重さに耐えられる場所でなければいけません。この辺りは管理組合などに、エコキュート導入の前にきちんと確認しておくことがオススメです。
隣家への騒音問題
次は、エコキュートを取り付けることで発生する騒音についてです。
エコキュートは、ガス給湯器のような瞬間湯沸かし器ではありません。エコキュートの大きな利点となるのは、電気代が安い深夜帯にお湯を作り置きしておくという給湯システムになっているため、給湯に関わるエネルギーコストを大幅に削減できるのです。逆に言うと、エコキュートが稼働するのは、一般の人が寝静まった時間帯となり、近隣住民との騒音トラブルを抱えてしまう可能性があるのです。昼間であれば全く気にならないような音でも、周囲が静かな状況であれば、余計にうるさく感じる…なんてことは誰にでもあることでしょう。エコキュートも、稼働にそこまで大きな音が出るわけでもありませんが、ヒートポンプユニットのファンが回ることにより低周波音が発生するのです。また、大気中から集めた熱エネルギーを圧縮して高温を作り出す圧縮機が内蔵されていて、これも低周波音を発生させてしまいます。
これらの低周波音は、40dB程度(閑静な住宅街の昼間くらい)の音ですので、本来そこまで気になるような音量ではないのですが、深夜に低周波音が鳴ることで、どうしてもそれが気になり睡眠障害を起こしてしまう…という人はいるのです。実際に、2009年群馬県でエコキュートの騒音問題で訴訟になったパターンもあります。
したがって、集合住宅でエコキュートを導入する場合には、戸建て住宅よりも隣家との距離が近いことをきちんと意識し、寝室から距離を取る、換気ダクトや排気口から音が伝わらないように設置するなどの対策が必要になります。なお、エコキュート設置の際に、制振材や防音シートをつけるなどの対策をすれば、ほとんどの場合騒音トラブルなどはありません。
取り付け工事問題
最後に、取り付け工事問題です。これが1番のポイントかもしれません。
エコキュートを導入する際は、基本的に設置工事が必要です。特にガス給湯器から乗り換える場合、各種配管工事が必要になってきますので、皆さんがイメージしているよりもかなり大がかりな工事になります。当然、工事を行う時には、騒音やホコリが発生しますし、共用部分に荷物を置くなど、集合住宅にお住いの他の方にそれなりの迷惑が掛かってしまいます。したがって、設置工事のために、近隣の方との合意を取ることや、マンションで工事を進める場合の適切なルールを守るため、管理会社にもいろいろな届け出が必要になるのです。
もちろん、工事のための近隣挨拶などは施工会社がきちんと行ってくれますが、共用部分に関することも少なくありませんので、管理会社への事前連絡や申請をきちんとするようにしましょう。マンションによっては「そもそもエコキュートが禁止」などと言うルールが作られている可能性もありますので、エコキュートの契約を済ます前にきちんと管理会社に相談しておきましょう。
まとめ
今回は、マンションでエコキュートって使えるの?エコキュート設置時の注意点についてご紹介してまいりました。いかがでしたか?
本稿でご紹介したように、マンションなどの集合住宅にエコキュートの導入を考えた場合、戸建て住宅と比較すると導入のハードルがかなり高くなってしまうのです。また、導入してみたはいいものの、近隣住民と騒音トラブルを抱えてしまう…なんてことになると目も当てられませんので、その辺りの対策はきちんととってもらうようにした方が良いでしょう。販売業者の中には「売れれば良い…」と考えている会社も少なくありませんし、「エコキュートはほとんど音が出ないから騒音トラブルなんてない!」と説明する場合もあるそうです。確かに「そこまで大きな音は出ない」というのは間違いないのですが、感じ方は人それぞれですので、近隣住宅との距離が近いマンションにエコキュートを設置する場合、しっかりと騒音対策を進めてもらうように依頼しましょう。
なお、最近では、集合住宅でのエコキュートの需要が高まったいることから、各メーカーがマンションにも導入しやすい機種の販売を始めています。いままで「設置スペースがないからエコキュートは無理だ…」などと諦めていた方でも、導入可能な機種があるかもしれませんので、ぜひお気軽にお問い合わせください。