オール電化リフォームにかかる費用って?オール電化にする前に注意しておきたいポイントもご紹介!

今回は、住宅のオール電化リフォームをご検討中の方のため、実際にオール電化を導入する際にかかる費用や、導入前に考えておかなければならない注意点をご紹介していきたいと思います。

オール電化住宅は、調理や給湯に火を使わなくなりますので、住宅火災のリスクがかなり低くなることや、家庭で使用するエネルギーを電気に統一することで、光熱費削減が目指せるなどと言った利点が注目され年々その普及率が高くなっています。ある民間団体の調査によると、2017年以降はオール電化の普及率が右肩上がりになっており、2020年頃には普及率が20%を超えるのではないかと予想されていました。実際に、最近の単身用マンションでは、その安全性などからガスコンロではなく、電気で稼働するIHクッキングヒーターが設置されている物件も増えており、物件探しの際に『IHコンロ』を条件とする方も増えていると言われています。

それでは、戸建て住宅などにおいて、ガス併用のご家庭がオール電化リフォームを検討した場合、どの程度の予算を考えておけば良いのでしょうか?この記事では、オール電化に必要になる設備がどういったもので、それらの導入にどの程度の費用がかかるのかについて簡単にご紹介していきたいと思います。なお、「オール電化で光熱費削減ができる!」というイメージが非常に強いのですが、実はご家庭ごとのライフスタイルによっては、オール電化がデメリットになってしまう場合もあります。ここでは、オール電化導入前に考えておきたい注意点も合わせてご紹介しておきます。

オール電化に必要になる住宅設備とは?

オール電化住宅は、調理・給湯・空調など、快適な生活を実現するための熱源を全て電気で賄っている住宅の事を指しています。現状では、ガスや石油燃料など、複数のエネルギーを併用するご家庭の方が多いのですが、電気に統一することで、別のエネルギーにかかる費用がなくなるため、光熱費削減が期待できると言われています。一般的には、オール電化にするためにかかる設備・設置費用は、5~7年程度で元が取れるという計算になると言われています。

それでは、オール電化にするためには、どういった設備の導入が必要なのかもご紹介しておきましょう。

IHクッキングヒーター

まずは、調理に利用するコンロです。ガス併用の場合、ガスコンロを利用している方が多いのですが、この設備をIHクッキングヒーターに入れ替えする必要があります。

ガスコンロは、ガス火によって加熱を行いますが、IHクッキングヒーターは電磁波を使って加熱する設備となります。IHクッキングヒーターが登場したばかりのころは、「ガスよりも火力が弱い…」などと言われていましたが、実はガスコンロなどよりもかなり熱伝導率が高く、無駄なくエネルギー消費ができるというメリットもあります。当然、調理の際に火を使わなくなりますので、安全性の高さも大きなメリットです。

エコキュート

日本国内では、小型化が進み、設置場所を問わないなどというメリットからガス給湯器が広く普及しています。しかし、オール電化を実現するためには、給湯もエコキュートや電気温水器など、電気で稼働するものに入れ替えする必要があります。

ここ数年特に人気なのがエコキュートで、エアコンなどにも利用されているヒートポンプ技術を使ってお湯を沸かすシステムとなっています。エコキュートの利点は、火を使わずにお湯を沸かす安全性と、安い時間帯の電気を利用することや空気中の熱も効率よく利用するため、給湯にかかるコストを大幅に削減できる可能性があることです。さらに、給湯の際のCO2排出量が大幅に少なくなりますの、環境負荷低減にも一役買えるというメリットがあります。

温水式電気床暖房や蓄熱暖房機

床暖房にガスを利用しているご家庭も多いですが、こういった暖房器具も入れ替えする必要があります。

例えば、エコキュートのお湯を利用する『温水式電気床暖房』などがありますので、エコキュートの設置時に合わせて工事を行う方も多いです。床暖房は、他にも電気ヒータ式やPTCヒーター式のものも存在します。もちろん、床暖房などの暖房器具については、必須の設備というわけではありませんが、オール電化リフォームの際に、まとめて導入するご家庭が増えています。

オール電化工事のコストについて

それでは、自宅でオール電化リフォームを進める場合、どの程度の費用がかかってしまうのかについてもご紹介していきましょう。当然、エコキュートにしても、IHクッキングヒーターにしても、それぞれにグレードというものがありますので、どの機種を選択するのかによってかかるコストはかなり違ってきます。

一般的にですが、IHクッキングヒーター、エコキュート、床暖房のオール電化製品をまとめてリフォームする場合には、100万円前後の費用がかかると言われています。以下で、エコキュートとIHクッキングヒーターの入替費用についてもう少し詳しくご紹介しておきましょう。

IHクッキングヒーターへのリフォーム費用相場

まずは、ガスコンロからIHクッキングヒーターへ入れ替えする場合の費用相場からです。どの機種を採用するのかによって前後しますが、一般的に15~40万円程度が費用相場と考えておきましょう。

工事の内訳に関しては、IHクッキングヒーターの本体価格、配線工事、IH設置工事費用、廃材の破棄費用が基本的に含まれています。なお、ガスコンロからIHクッキングヒーターへの入れ替えの場合、熱源がガスから電気に代わるため、既存ガス管の撤去や新たな電気の配線工事が必要になります。したがって、現状の配管や配線の状況によってかかるコストが大きく変わってしまう場合があるので注意してください。

エコキュートへのリフォーム費用相場

次は、他の給湯器からエコキュートへ入れ替えする場合の費用相場についてです。こちらの場合、エコキュートのグレードや家族構成などによって異なる貯湯タンクの容量などで、かかるコストが変わってしまいます。最も安いもので30万円程度から導入が可能で、高機能・大容量のものになると60万円程度を想定しておきましょう。

MEMO
オール電化工事に合わせて、太陽光発電や家庭用蓄電池の導入も同時に行うご家庭が増加しています。これらの導入も一緒に考えている場合には、上記費用以外に200万円~400万円程度の費用がかかると考えておきましょう。

オール電化を導入する前の注意点について

それでは最後に、オール電化を検討中の方に向けて、実際に導入を決断する前におさえておきたい注意点をご紹介しておきます。オール電化は、家庭で使用するエネルギーを電気に統一することで「光熱費削減が期待できる!」ということや、火を使わない生活になるため「住宅火災のリスクが少なくなり安全!」と言った事がメリットになります。しかし、光熱費削減については、全てのご家庭が得られるメリットではなく、ライフスタイルによっては光熱費が逆に高くなってしまう場合もあると言われています

ここでは、オール電化を導入する前におさえておきたいいくつかのポイントをご紹介しておきます。

光熱費に関する注意点

まずは、オール電化最大のメリットと言われている「光熱費削減効果」に関する注意点です。上述したように、オール電化にしたからと言ってすべてのご家庭が光熱費削減を実現できるわけではないと考えなければいけません。

そもそも、オール電化の光熱費削減効果に関しては、太陽光発電も導入し、自家発電した電気を利用するという手段と、電力会社が用意しているオール電化用の料金プランを活用するという手段で実現します。前者の場合であれば、初期コストはかなり掛かるものの、日々の光熱費は確実に削減することができると思います。しかし、後者の場合はそうでもないのです。
実は、電力会社が用意しているオール電化用料金プランは、深夜帯の電気代が格安になっており、この格安の電気を上手に活用することが前提です。しかし、深夜帯の電気が安くなる一方で、昼間の電気代はかなり高くなってしまいます。つまり、昼間も誰か家にいて、それなりの電気量を使用する…というご家庭であれば、昼間の生活にかかる光熱費が高くなる分、オール電化による削減効果がほとんどなくなってしまう…または逆に高くなってしまうというリスクがあるのです。他にも、地域によっては、ガス代の方が圧倒的に安いなんて場合があり、この場合もオール電化にしてしまうと光熱費が高くなってしまうリスクがあります。

オール電化を検討した場合には、このあたりに注意して、しっかりと料金シミュレーションを行ったうえで導入しましょう。

設備の使い勝手に関する注意点

次は、オール電化のため、エコキュートやIHクッキングヒーターを導入した際の使い勝手に関する注意点です。どちらも、従来のガスを利用する設備とはかなり使い勝手が違いますので、最初は戸惑ってしまい、オール電化の導入に後悔してしまう…方がいます。

例えば、IHクッキングヒーターの場合、専用の調理器具を揃えなければ加熱ができません。今までガスコンロを使っていたご家庭であれば、鍋やフライパンなど、全ての調理器具を買い換えなければならなくなり、オール電化工事以外にもそれなりのコストがかかってしまう…なんてリスクもあります。また、IHクッキングヒーターは、鍋底が接触していなければ加熱できませんし、フライパンの使い方などが変わってしまい「使いにくい…」と感じてしまう方もいます。
エコキュートに関しては、給湯方式から全く変わります。ガス給湯器は、お湯が必要な時にその場で沸かして給湯するという瞬間式の給湯器です。したがって、基本的にいつでも好きな時にお湯を利用できるという利便性があります。しかし、エコキュートは、電気代が安い深夜帯にまとめてお湯を沸かし、タンクに貯めておくという貯湯式の給湯システムになります。つまり、タンクに貯めている以上のお湯を使えば、使いたいときにお湯切れを起こしてしまい、お湯が出なくなる…なんてリスクがあるのです。もちろん、常にタンクを満タンにしておく設定などもありますが、これを利用すると電気代が高い時間にもお湯を沸かしてしまうようになりますので、エコキュートの光熱費削減効果が無くなってしまいます。

このように、従来の設備とは全く使い勝手が異なる…ということをしっかりと考えておかなければ、導入後に「使いにくくて不便…」と後悔してしまうリスクがあるわけです。なお、この使い勝手に関しては、そのうち慣れていきますのでそこまで気にする必要はないのではと、個人的には思います。

まとめ

今回は、これからオール電化を導入しようと考えている方に向け、オール電化にするために必要になる設備や、それらを導入するためにかかるコストをご紹介してきました。この記事でご紹介したように、オール電化は家庭で使用するエネルギーを電気に統一する住宅の事ですので、導入しなければならない設備も意外に多いです。また、基本的に、オール電化用の住宅設備に関しては、ガスを利用する設備と比較すると、かなり使い勝手が変わってしまいますので注意しましょう。なお、「オール電化にすれば誰でも光熱費削減ができる!」と考えているのであれば、それは大間違いですので、自分のライフスタイルで本当に光熱費が削減できるのかはしっかりとシミュレーションしておく必要があります。

年々オール電化の普及率が高くなっていますが、誰にとっても得られるメリットは『火を使わないので安全!』と言う点で、その他の面はデメリットもありますので、しっかりと検討する必要があると考えておきましょう。