オール電化は火を使わないから安心!実はその油断が住宅火災を引き起こしてしまう…

皆さんは、近年人気のオール電化について、どういった事がメリットとなり、多くのご家庭が導入し始めているのだと思いますか?今まで一度でもオール電化の営業を受けたことがある方であれば「生活で消費するエネルギーを電気にまとめられるので光熱費が削減できる!」などと言った事を営業マンの方から説明され、「オール電化もよさそうだな…」と考えたかもしれませんね。

オール電化は、光熱費削減が大きなメリットとされているのですが、これ以外にも『火を使わないから住宅火災のリスクが低くなる!』というメリットも注目されています。例えば、ガスを併用するご家庭であれば、ガスコンロに火をつけている際、誤って可燃物が火に接してしまうことで燃え移り、火災に発展してしまう…なんて危険があります。しかし、オール電化にすれば、ガスコンロからIHクッキングヒーターに入れ替えますので、直接火を使わなくても加熱することができるようになります。そのため、小さなお子様や高齢者が住むご家庭でも、火災リスクが低くなり安全な住環境が作れると言われているのです。実際に、保険会社の中には、オール電化にすることで、火災保険の保険料が下がる場合もあるそうです。

オール電化の大きなメリットは、上記のように『光熱費削減効果』と『火災リスクが低く安心』だと言う点です。しかし注意が必要なのは、オール電化にしたからと言って住宅火災のリスクが『ゼロ』になるというわけではないのです。それどころか、「オール電化だから火事にはならない!」などと考えてしまい、その油断から火災を引き起こしてしまう…なんてことも少なく無いと言われているのです。そこでこの記事では、オール電化でも火災に発展してしまう恐れがある原因についてご紹介していきたいと思います。

オール電化でも火災リスクが『ゼロ』になるわけではない!

オール電化は、直火を使わない生活になるため、「住宅火災のリスクがなくなる」と考えてしまう方もいると思います。もちろん、直火を使用するガスコンロと比較すれば、火を使わないIHクッキングヒーターの方が火事になりにくいのは確かだと思います。しかし、IHクッキングヒーターでも調理器具は非常に高温になるわけですので、火事の可能性が全くなくなるというわけではないのです。さらに、IHクッキングヒーターの場合、少し使い方を間違ってしまうだけで、不幸な火災を引き起こしてしまう危険があると言われているのです。

ここでは、オール電化にしたとしても、日常生活上で考えられる住宅火災の原因をご紹介しておきます。

揚げ物の油が高温になり過ぎて発火

まずは、揚げ物をしている時に油が高温になり過ぎてしまい火災に発展するというものです。家庭で普通に使用している油の中には、温度が370℃前後の高温になった時、自然発火してしまう場合があるのです。通常、IHクッキングヒーターによる加熱であれば、異常な高温を検知して自動で加熱を停止してくれる安全装置がついています。しかし、急に温度が上がり過ぎてしまった時などは、安全装置が働く前に自然発火してしまうことがあるのです。

つまり、「IHは火を使わないから安心」だとか「IHは安全装置があるし安心」などと考えて、鍋から目を離してしまうと、その油断が命取りになり火事になってしまうことがあるのです。注意しましょう。

漏電による火事

次は漏電による火事です。IHクッキングヒーターは、内部に水が侵入しないような作りになっています。しかし、経年劣化によってパッキンがダメになってしまったり、プレートに亀裂が入ってしまうことで、内部にまで水分が侵入できるようになる場合もあります。このような状態になったIHクッキングヒーターを使用する際、吹きこぼれや誤ってIHの上に水をこぼした…なんて時に、内部まで水が侵入し、精密部品部分などに水分が溜まり漏電してしまった…なんて事例があるのです。IHクッキングヒーター内部の漏電は目に見えない部分ですので、長く気付けずにいると、内部で火花がおきて火事に発展してしまうことがあるのです。

他にも、IHクッキングヒーター内部にゴキブリが侵入し、内部に残った死骸によって漏電が発生したという事例も存在します。

IH対応ではない調理器具を使った事で火事が…

IHクッキングヒータは、加熱できる調理器具が決まっています。そして、IH対応でない調理器具を加熱してしまった事で火災に発展してしまう…なんてリスクがあるのです。IHで使用できない調理器具は以下のような物です。

  • 底が平らでないもの
  • 土鍋やガラスなど金属製ではないもの
  • アルミや銅など電気抵抗が低い素材で出来ているもの

上記のような間違った調理器具を使ってしまった場合、火事に発展してしまうリスクがあると言われています。また、鍋底に可燃性のゴミが付着していたという理由で、火事に発展してしまったなんて事例もありますので、IHクッキングヒーターでの加熱時も、ガスコンロと同じく細心の注意を払う必要があるのです。

IH以外にも危険な電化製品がある

電気製品による火災では、コンセント部分にホコリが溜まってしまい、家事になる…なんて話が有名です。実は、IHクッキングヒーターとガスコンロの関係によく似た感じで油断から火災を引き起こす設備があります。

冬場になると、暖を取るためにストーブを利用する方が多いのですが、ストーブによる火災も非常に多いので注意しましょう。ちなみに、ストーブによる火災…と聞くと、直火を使う石油ストーブなどで多いものと考える方が多いのではないでしょうか?しかしこの考えは間違っており、最近では直火を使わない『電気ストーブ』が原因となる火事が非常に多いと言われているのです。実際に、東京消防庁が公表した平成28年中に起きたストーブ火災では、なんと全体の76%が電気ストーブが原因だったと公表されています。

電気ストーブは、直接火を使わないものの、ヒーター部分が非常に高温になりますので、そこに布団やカーテン、洗濯物が接触することで発火してしまい、火災に発展するという事故が多いと言われています。これからの季節、ストーブを使うことが増加しますので、皆さんも注意しておきましょう。

オール電化での火災を防ぐためには?

ここまでの情報で、オール電化にしたからと言って、住宅火災のリスクがゼロになるわけではないということが分かっていただけたと思います。当たり前と言えば当たり前なのですが、オール電化での火災は、使用者の油断が原因になっていると言われますので、心構えひとつで、火災リスクを限りなく低くすることは可能です。

そもそも、IHクッキングヒーターなどを使用するオール電化のメリットが「火を使わないことで安全になる」ということですので、使用時にしっかりと注意点を押さえておけば、かなり安心な住環境が作れるのは間違いないと思います。まずは以下のような点に注意しておきましょう。

調理中は鍋から目を離さない

IHクッキングヒーターは、異常な高温を検知した場合、安全装置が働き自動で加熱をストップしてくれます。このポイントがあるため、高齢者などが「鍋をかけ忘れても安全です!」などと説明されることがあるのです。

しかし、いくら直火を使わない設備だとは言え、何らかの理由で安全装置が働く前に油が自然発火してしまう危険はあるのです。したがって、IHクッキングヒーターで加熱する際には、鍋から絶対に目を離さないようにしましょう。そうすれば何か異常を感じた時は、すぐに自分で対処することが可能です。何らかの理由でその場を離れるのであれば、スイッチは切ってから移動するようにしましょう。

揚げ物は油の量と設定温度に注意

近年では、節約料理などとして、揚げ物でも通常よりも少量の油しか使用しないようなレシピが公表されています。しかし、鍋の中の油の量が少なすぎてしまうと、温度調節が上手くいかず、設定温度よりも高温になってしまう場合があると言われています。したがって、IHクッキングヒーターでは、少なめの油で揚げ物をするのは避けておいた方が良いです。

どうしても、油の量を少なくしたい場合は、加熱中に絶対に目を離さないようにしてください。

小まめに掃除、可燃物を近くに置かない

IHクッキングヒーターの周りは、小まめに掃除を行い、可燃物が近くにない状態で調理を行えるように整理しておきましょう。
直火を使わないIHクッキングヒーターですが、揚げ物調理中に高温になった油が跳ねてしまい、近くにあった布巾に落ちて、引火してしまった…という事例もあると言われています。

まとめ

今回は、オール電化での火災リスクについてご紹介してきました。この記事でご紹介したように、オール電化の営業を受ける時には、光熱費削減効果と共に、直火を使わなくなることから、火災の心配をしなくても良くなると言われる場合があります。そのため、多くの方が「オール電化は火事にならない」などと、少し過剰な安心感を持ってしまっているのだと思います。もちろん、ガスを併用して直火を使用するのと比較すれば、かなり安全性が高くなるのは確かだと思います。しかし、「オール電化にすれば火災リスクがゼロになる」と考えているのであれば、それは大きな間違いと言えます。

特に、オール電化は、その安全性の高さから使用者の油断を招いてしまい、注意不足に陥ることが火災に発展してしまう原因になることが多いです。したがって、オール電化でも『火災リスクはゼロではない!』ということをしっかりと認識して、火災を起こさないための対策は行いましょう。