初めてのエコキュート選び!地域の特性を考慮しなければ早期の故障が考えられる?

今回は、家庭で使用する給湯器としてエコキュートに決めた方が、機種選びの際に注意したいポイントをご紹介したいと思います。日本国内では、ガス給湯器や石油給湯器が広く普及していますが、オール電化住宅のメリットが知られてきた近年では、家庭で使用する給湯システムも電気を利用するエコキュートの人気が年々高くなっています。エコキュートは、ヒートポンプ技術を採用していることから、大気中の熱まで効率よく利用できることや、お湯をまとめて沸かしてタンクに貯めておくという貯湯式の給湯システムになっていることから、電力会社が用意している格安の夜間電力が利用できるといった点で、他の給湯システムよりも大幅に給湯コスト削減が可能なのが人気の理由です。

それでは、家庭で使用する給湯器としてエコキュートに決めた場合、導入する機種選びはどういった点に注目するでしょうか?当然エコキュートと言っても、さまざまなメーカーが製造・販売を行っているため、家庭に最適なエコキュートを導入するためにはいろいろな点を比較検討しなければいけません。一般的には、家族構成を考えたタンクの容量や導入コストなどを考えて、実際に導入するエコキュートのメーカーや機種を決定することになるでしょう。しかし、せっかく導入したエコキュートをできるだけ長く使用したいと考えた場合、他にも注目しておかなければならないポイントがあるのです。

そこで今回は、エコキュートの機種選びを進める際におさえておきたいポイントをご紹介していきます。

一般的なエコキュートの比較ポイント

それではまず、エコキュートの導入を決めた方が、実際にエコキュートの機種選びを進める際の代表的な比較ポイントからご紹介しておきましょう。以下で紹介する比較ポイントは、ほとんどの方が注目する部分ですので、エコキュートの導入を検討している方にとっては無関係な話ではありません。
多くの方がどういった点に注目しているのかを予めおさえておきましょう。

  • 価格面で選ぶ
    誰もが最も気になるのが導入にかかるコストです。エコキュートは、『給湯専用・オート・フルオート』と機能の違いもありますし、貯湯タンクの容量などさまざまな違いがあり、それらの違いによって本体価格が異なります。さらに、販売店によって標準工事費などの設置工事費用に違いが存在しますので、同じ機種の見積りだとしても、販売店ごとにかなりの違いが出るのです。価格面の注意点は、ほとんどの方が『安さ』ばかりに注目するのですが、その安さを何で実現しているのかを見落としてはいけないということです。
    例えば、購入後の保証やアフターフォローがない事を理由に他社よりも安いといった場合、安さを理由に決めるのはオススメできません。エコキュートは、導入後10年以上利用することを想定する設備ですので、トラブルがあった際のフォロー体制もしっかりと確認するようにしましょう。
  • 貯湯タンクの容量
    次はタンク容量です。エコキュートは一日に使用するお湯をまとめて沸かして貯湯タンクに貯めておく貯湯式の給湯器です。一般的に、家族構成から推奨サイズが案内されるものなのですが、ライフスタイルを無視して導入してしまうと、導入後にお湯切れが頻繁に起こり使い勝手に不満を感じる…なんてことになりかねません。例えば、お子様がスポーツをしている家庭と高齢者と一緒に住んでいる家庭では、一日に使用する湯量はかなりの差があるのです。したがって、エコキュートのタンクサイズを決める場合には、ご家族のライフスタイルから一日に使用する湯量をしっかりと計算しておくことがオススメです。
    タンクサイズが合わず、頻繁にお湯切れを起こしてしまうと、電気代の高い昼間に沸き増しが必要になるため、エコキュートの給湯コスト削減効果が得られなくなりますので、不安であればワンランク上のサイズを選ぶのがオススメです。
  • 機能を選ぶ
    上述のように、エコキュートにも『給湯専用・オート・フルオート』と機能の違いが存在しますので、自分が欲しい機能は慎重に選びましょう。当然、高機能なエコキュートほど本体価格が高くなってしまいます。さらに最近では、エコキュートの開発・販売を手掛けるメーカーが増えており、メーカーによってエコキュートの特徴がかなり違ってくるのです。その辺りもしっかりと比較検討しておくのがオススメです。

エコキュートの導入を決めて、機種選びをする際には上記のようなポイントを比較するのが一般的です。さらに、エコキュートはガス給湯器などと比較すると、かなり大きな給湯器となるため、設置するためのスペースも考慮しなければいけません。最近では、一般的な角形の貯湯タンク以外にも、スリムタイプや低背タイプ、コンパクトサイズなど、設置スペースに関する条件は緩和される傾向にありますので、もともとスペース的な問題でエコキュートを諦めていた…という方でも導入できる可能性は高くなっています。

皆さんからすれば、これだけの条件を比較検討すれば「自分に最適なエコキュートが必ず見つかる!」と考えてしまうでしょう。しかし、エコキュートのプロからすると、もう一点どうしても抑えておいてほしいポイントがあるのです。このポイントは、意外と見落とされがちになるのですが、導入後のエコキュートの寿命に関わってくるため、本来は決して無視できるようなポイントなのです。以下でそのポイントについてご紹介していきましょう。

お住まいの地域特性を忘れてはいけない!

エコキュートの機種選びを進めている時に『一般地用』や『寒冷地用』『耐塩害用』などの記載があり、これらが何を意味しているのか不思議に思った事がある…という方も多いのではないでしょうか?実は、これらの仕様は、地域特性のこと考えて作られた特別仕様のエコキュートという意味で、より効率よくエコキュートを利用するためには、ご自宅の地域特性に合わせた仕様の物を選択しなければいけないのです。

国土はさほど広くない日本ですが、海に面している場所、冬場は極端に気温が下がる場所など、住んでいる地域によって気候条件や外的要因が全く異なります。これを何も考えずにエコキュートの機種選びを進めてしまうと、エコキュート本体の早期故障を招いてしまう恐れがあるのです。
エコキュートメーカー『コロナ』のサイトで、地域特性をわかりやすく図にしたものがあるので、以下で引用しておきます。

引用:コロナ公式サイト

一般地と寒冷地の目安は以下のように説明されています。

最低気温が−10℃までの地域
主に次世代省エネルギー基準Ⅲ〜Ⅵ地域(平成25年基準では4〜8地域)及び最低気温が-10℃までの地域
寒冷地向け
主に次世代省エネルギー基準Ⅰ〜Ⅱ地域(平成25年基準では1〜3地域)及び最低気温が-25℃までの地域
引用:コロナ公式サイト

上記のように、最低気温が-10℃を下まわるような地域では、寒冷地仕様のエコキュートを選ばなければならないのです。エコキュートメーカーで用意されている地域特性ごとの違いは以下のようになります。

一般地用

最もスタンダードなタイプがこの『一般地用』です。運用範囲はほとんどのメーカーで「-10~43℃程度」となっています。一般地用のエコキュートについてはほとんどのメーカーで以下のような説明になっています。

  • 最低気温が-10℃のときに90℃のお湯を沸かすことが可能
  • 最低気温が-10℃を下回らない地域(Ⅲ~Ⅵの地域)で利用可能

寒冷地用

冬場の最低気温が-10℃を下回るような地域は『寒冷地用』を導入することになります。メーカーによる説明は下記のようになっています。

  • 最低気温が-25℃を下回らない地域で利用可能

ちなみに、最低気温が-25℃を下回る地域ではエコキュートは設置できません。また、-20℃を下回る地域などは、貯湯タンクを屋内設置にすることが推奨されています。

耐塩害仕様(耐重塩害仕様)

海浜・臨海地域にお住まいの方がエコキュートを導入する場合、『耐塩害仕様』のエコキュートが推奨されます。通常のエコキュートと違い、タンクやヒートポンプユニットの外板、熱交換器や電気部品のプリント基板などに防錆・防腐処理が施されています。

  • 海に面していて、潮風の当たる地域で利用

エコキュートの導入を検討している住宅が、海岸から300m以内であれば『耐重塩害仕様』、海岸から300m以上、1km以内なら『耐塩害仕様』を選ぶようにとされています。なお、耐塩害仕様のエコキュートだとしても、直接潮風に当たるのは良くありません。したがって、建物の裏側など、直接潮風が当たらない場所を選んで設置する必要があります。

井戸水対応型

これは地域特性とは少し違うのですが、家庭で使用する水について井戸水などの地下水を使用しているご家庭向けのエコキュートです。日本は上下水道の普及率が非常に高い国なのですが、現在でも生活用水として井戸水を利用しているご家庭も少なくありません。こういったご家庭で通常のエコキュートを利用した場合、内部で井戸水の成分が固体化し詰ってしまうことで故障の原因となってしまうのです。

したがって、早期故障を防ぐために『井戸水対応型』を選択しなければいけません。なお、井戸水対応型を導入する場合には、事前にメーカーによる水質検査があるなど、導入の流れも少し変わります。この辺りは別の記事でご紹介していますので、そちらもご参照ください。

引用:井戸水を使っているけどエコキュートは導入できる?

まとめ

今回は、エコキュート選びの際に意外と見落とされがちな重要ポイントである、エコキュートの地域仕様についてご紹介しました。近年では、非常に給湯コストが安いとエコキュートの人気が年々高くなっています。しかし、エコキュート選びの際には、ほとんどの方は価格やタンク容量、大まかな機能を重視して機種選びを進めており、重大な故障原因となる地域ごとの特性は無視してしまいがちです。特に、日本は海に囲まれている島国となりますので、海があるのに慣れ過ぎてしまい、塩害関係の事が抜け落ちてしまうことも少なく無いのです。

もちろん、導入にかかるコストが気になるのは当たり前ですが、実際にエコキュートを購入する際には、導入後のこともしっかりと考えておくことがオススメです。家庭の給湯を一手に担う設備となりますので、できるだけ長く使用するためには忘れてはいけないポイントだと覚えておきましょう!