エコキュートのリースってお得?ローンが使えるなら買取の方が良いのでは?

今回は、エコキュートの導入を検討している方のため、最近よく目にするようになってきた『リース』でエコキュートを導入する方法と、購入するのではどっちがお得になるのかについて考えてみたいと思います。

エコキュートは、電気でお湯を沸かす給湯システムで、火を使わないことから住宅火災の心配が少なくなることや、電力会社のプランを上手に活用して日々の光熱費を削減できることなどがメリットと言われ、年々人気が高くなっています。さらに、貯湯式の給湯器であることから、地震や台風などで断水した場合でも、非常用水を確保できる点も注目されており、政府や自治体などが助成金なども用意しています。

しかし、ガス給湯器などと比較すると大型の給湯システムになってしまうことから、導入コストが比較的高くなってしまう…と言う点が悩みの種となってしまうようです。一般的なエコキュートであれば、35万円程度で導入できますし、ガス給湯器と比較してもそこまで高額なものではありません。ただし、高機能な最新モデルで、大家族向けのエコキュートになると、70万円以上するような機種も存在しますので、そういった機種をお求めの場合は初期コストがネックになってしまうのです。こういった事情から、ここ数年、各電力会社などが、低額な月額費用のみでエコキュートの導入が実現できるリースサービスを開始するようになっています。リースで導入した場合は「5000円/月」程度が平均的なランニングコストになるため、初期費用がネックになっている方にとっては、非常に魅力的なサービスに見えるのだと思います。

それでは、エコキュートの導入を検討した場合、こういったリースサービスでの導入が本当にお得なのでしょうか?この記事では、エコキュートを購入する場合と比較してみたいと思います。

そもそもリースサービスとは?

それではまず、「そもそもリースとは?」という部分から簡単にご紹介しておきましょう。エコキュートの導入に関しては、導入する機種をえらび、その本体価格と設置費用を支払うというのが一般的です。ちなみに、エコキュートを購入する場合、多くの販売会社がローンを用意していますので、購入する時でも支払いは月々にするということは可能です。分かりやすく言えば、自動車ローンのような感じですね。

リースに関しては、ローンと同じように、一定の金額を毎月支払うというものなのですが、こちらの支払いに関しては、『レンタル料』として支払っている形となります。つまり、エコキュート本体に関しては、あくまでもリース会社から『レンタルしている』という形で、あなたの家に設置されているとしても機種の持ち主はリース会社になるわけです。ローンの場合は、リースと同じく毎月一定額を支払っていくものですが、機種の持ち主はあなたになると言う点が異なります。

こう見ると、ローンという支払方法があるのであれば、リースにする必要性があまりないように感じられますよね。筆者個人的にも、エコキュートをリースで導入する点にあまりメリットを感じるポイントはないのですが、大手電力会社などが行っているサービスですし、その安心感から人気になっているのかもしれませんね。
以下で、リースサービスでエコキュートを導入するメリットとデメリットをご紹介しておきますので、「本当にお得か?」の判断材料にしてみてください。

リースサービスのメリット・デメリット

それでは、エコキュートを購入するのではなく、リースサービスを利用して導入する場合のメリットとデメリットをご紹介していきましょう。筆者は『購入したほうが良い派』ですので、少しリースサービスに関しては厳しめかもしれませんが、参考にしてみてください。

リースサービスのメリット

それではまず、リースサービスのメリット面からです。分かりやすいメリットで言えば、エコキュート導入のネックとなってしまう初期費用の負担がなくなるという面だと思います。他にもいくつかのメリットがありますので、以下でご紹介しておきます。

  • 初期費用がおさえられる
    上述したように、リースサービスのメリットは、導入にかかる初期コストが抑えられると言う点です。エコキュートは、安いもので35~40万円程度の初期費用がかかってしまいます。リースで導入する場合は、この初期コストが無料(工事費は支払わなければいけないサービスもあります)になるのです。初期費用の負担なく、月額コストのみで導入できるのは大きなメリットですね。なお、ローンの場合でもこのメリットは同じです。
  • リース期間中は修理費がかからない
    リースでエコキュートを導入した場合、機種の持ち主はリース会社となるため、万一故障した場合はリース会社の責任で修理してもらえます。機種交換が必要なほどの故障は、新しいものに入れ替えになるのですが、同等機種への入れ家も無料です。特にうれしいのは、メーカー保証の対象外となってしまう自然災害による故障でも、修理してもらえるようなサービスもある点です。なお、こういった修理に関しては、あくまでもリース料の中に含まれているだけですので、お客様自身が積み立てしているという感じでもあります。
  • 運営会社がしっかりしている場合が多い
    エコキュートのリースは、大手電力会社の子会社などが運営している場合が多いです。したがって、リース期間中にサポートが受けられなくなる…なんて心配が少ないのはメリットでしょう。最近では、ネットでエコキュートを購入できるようになっているのですが、購入後数年で販売会社がなくなる…なんてことも珍しくありません。エコキュートは、基本的に10年以上使用することが想定されるものですので、購入の場合は途中でメンテナンスなどのサポートが受けられなくなるかも…というリスクが存在するのです。リースの場合は、運営会社がしっかりしているのでそういった心配がありません。

リースサービスのデメリット

次にリースサービスのデメリット面をご紹介しておきます。リースでの導入は、意外にデメリットが多いですので、以下で紹介するポイントは慎重に判断しておいた方が良いですよ。

  • リース満了後の取り扱いについて
    リースサービスで導入する場合、10年程度の長期契約を組むことになるのですが、契約期間満了後の取り扱いは会社によって異なります。例えば、「満了後は所有物になる」「リース契約を更新して使用を続ける」「新しい機種にして再契約する」など、会社によっては自分のものにならない場合も多いのです。この辺りの取り扱いは、リース会社によってかなり違いますので、その場になって慌てなくても良いようしっかりと確認しておきましょう。
  • 初期費用がかかる場合も…
    リースは「初期費用が無料で月額コストのみ!」というのが最大のメリットです。しかし、設置条件などによっては、施工費用のみはお客様負担になってしまう場合があります。リースサービスの中には、あくまでも機種のみがレンタルとなっており、取り付け工事は負担が必要というものもあるので注意しておきましょう。他にも、配管を延長しなければならない、風呂配管の新設が必要などと言った場合、追加分の工事費は初期費用として支払う場合もあります。ローンの場合は、こういった工事費も含めるので、この点はローンの方が安心です。
  • 途中解約できない
    リース契約の場合、何らかの理由で解約が必要になっても、基本解約できません。解約するためには、違約金が必要になります。エコキュートのリースは、10年間というのが基本となりますので、この間に家族構成が変わる、転居が必要になるなどの問題があれば、大きなデメリットになるでしょう。
  • トータルコストが割高
    リースでエコキュートを導入する場合には、手数料や修理費用なども含まれていることから、総額の費用が購入する場合よりも割高になってしまいます。契約内容によっては30万円以上も高くなってしまうこともありますので、あくまでも初期負担が軽減できるだけで、中長期的に見るとそこまでお得ではないと言えるでしょう。
  • 機種選択の幅が少ない
    リースの場合、リース会社が保持しているエコキュートの中から導入する機種を選びます。そのため、あなたが導入したい機種があったとしても、リース会社が取り扱っていなければ、他の機種を選択するしかないわけです。エコキュートは、メーカーや機種によって搭載機能がかなり違ってきますので、この点も大きなデメリットと言えるでしょう。購入する場合は、予算などの問題もありますが、基本的に自分の好みの機種を選ぶことが可能です。

リースと購入ならどっち?

ここまでは、リースサービスを利用してエコキュートの導入を行う場合のメリット・デメリットについてご紹介してきました。メリットに関しては、初期コストの負担がなくなるというものなのですが、購入する場合と比較すれば余計なコストが含められてしまうため、総額は割高になってしまいます。ただし、リース会社の持ち物と言う点から、メンテナンスの面はあまり気にしなくても良いと言う点は大きなメリットかもしれませんね。

それでは、購入する場合と比較すれば、どちらがお得だと言えるのでしょうか?この部分に関してですが、初期コストを問題なく支払える方であれば、購入する方が圧倒的に良いと思います。上述したように、リースの場合は初期の負担が軽減できるものの、修理の費用などがあらかじめリース料にのってしまいますので、場合によっては30万円近く高くなってしまうのです。購入する場合でも、メーカーの延長保証やアフターフォローがしっかりしている販売会社を選べば、ランニングコストもそこまでかかるものではありません。つまり、10年使用すると考えれば、購入したほうが確実に安くつくのです。

リフォームローンなどを利用する場合を考えても、同じ機種を選択したとすれば、基本的に10万円以上ローンの方が安くなります。ローンの場合であれば、初期負担もなく自分の所有物としてエコキュートの設置ができるうえ、ローンが完済すれば、月々の支払いもなくなるわけです。そう考えると、エコキュートの導入にリースサービスを利用するメリットはあまりないのではないかと筆者は考えています。