「給湯コストがお得になる!」と噂のエコキュート!実際に導入する際にはエコキュートの欠点も知っておこう!

オール電化住宅が増えてきた近年では、家庭の給湯を担う給湯器に関しても、電気で稼働するエコキュートを選択する人が増えています。新築でオール電化を選択する場合には、必然的にエコキュートを選ぶことになるのですが、もともとガスを併用していたご家庭でも、太陽光発電設備の導入に合わせて、今までガスで稼働していた設備を電気がエネルギー源となる設備に入れ替えする人が増えています。こういった行動は、オール電化用の電気料金プランなどが作られていることや、自家発電した電気で調理やお風呂のエネルギーを賄えることになるため、日々の生活にかかる光熱費を大幅に削減できるという点が注目されてのことだと思います。

こういった事情もあり、戸建て住宅では、年々エコキュートの導入率が高くなっているのですが、「エコキュートにすればお得に生活できる!」という点にだけ注目するのはあまりオススメできません。確かにエコキュートは、電力会社が用意している料金プランを上手に活用することで、給湯コスト削減が期待できますが、ガス給湯器などと比較すれば「そもそもの給湯器としての仕様が根本的に異なる」という特徴から、実際に導入してみた時の使用感がかなり違ってしまうものなのです。
したがって、ガス給湯器からエコキュートに入れ替えした方の中には、「光熱費は下がったけど、エコキュートって意外と欠点も多い…」と、モヤモヤした気持ちになってしまうような人がいるのです。

そこでこの記事では、現在、家庭の給湯器をエコキュートに使用かなとお考えの方に向け、導入前に知っておきたいエコキュートの欠点と、欠点の解消法をご紹介しておきます。

エコキュートの欠点① 『水圧が弱い』問題

もともとガス給湯器を利用していた方が、何も考えずに価格の安さだけでエコキュートの機種選びを進めてしまった時におきがちな問題が、「シャワーの水圧が弱い…」と不満に感じてしまうという点です。実際に、このポイントに関しては、ネット上でも有名な話で、「エコキュート 水圧」などで検索すると、さまざまな情報が出てくると思います。それでは、エコキュートは、他の給湯器と比較して、なぜ水圧が欠点になってしまうのでしょうか?

それは、瞬間式と貯湯式という、給湯器としての仕組みの違いが原因です。日本国内で広く普及しているガス給湯器は、『瞬間式』の給湯器であり、極端に言うと、給湯器の中を水道水が通って行く間に、バーナーでお湯にしてシャワーからお湯が出るようにするという方式です。つまり、水道管の水圧そのままの勢いでお湯も出てくるわけです。
一方エコキュートは、貯湯タンクに水を貯めて、そこでお湯を沸かし、タンクからお湯を供給するという『貯湯式』と呼ばれる仕組みが採用されています。実は、「タンクに水を貯めておく」という工程が存在するため、水道の水圧をそのままキープすることができないのです。エコキュートの場合、タンクに水を貯める際、貯湯タンクが耐えられる圧力まで減圧弁で水圧を弱めてしまいます。そして出来上がったお湯は、タンクから供給するということになるため、水道水の水圧そのままで供給できるガス給湯器よりも水圧を弱く感じてしまうのです。

一般的にですが、戸建て住宅での水道水の水圧は500kpa(地域によって違いはあります)あると言われているのですが、エコキュートの一般タイプだと170~180kpa程度になってしまうのです。要は、水道水の水圧の半分以下しかなくなってしまうという訳で、シャワーを浴びている時に不満に感じてしまう人がいます。

エコキュートの水圧問題を解決するには?

エコキュートの販売開始当初は、実際に導入したご家庭からメーカーに直接「水圧が弱いのではないか…」と言った問い合わせが多く入ったということがあったと言われています。したがって、エコキュートメーカーは、エコキュートの欠点となる水圧の弱さを解消するため、研究開発を進めています。そして現在では、『パワフル高圧』タイプなどと呼ばれるモデルが各メーカーから登場しています。

上述したように、一般モデルのエコキュートは、水道水の半分以下の水圧となってしまうのですが、各メーカーがお客様の声にこたえる形で『パワフル高圧タイプ』と呼ばれるモデルを販売するようになっています。パワフル高圧タイプのエコキュートになると、なんと水圧が280~320kpa程度と、大幅に水の勢いが強くなるのです。実際に、高圧モデルのエコキュートを導入したご家庭に「水圧はどうですか?」と質問してみると、ガス給湯器の時と何ら変わりないという返答を頂けています。なお、水圧が弱いと言われる一般モデルに関しても、「ガス給湯器の水圧が強すぎて、これぐらいがちょうど良い」という方も少なくありませんので、シャワーを浴びる時に不便に感じるほどの水圧の弱さではないと思いますよ。

とにかく水圧を強くしたいとお考えなら日立の「ナイアガラシリーズ」

エコキュートのメーカーの中でも、日立のエコキュートは特に水圧が強いモデルがあります。というのも、日立のエコキュートの中には、「ナイアガラシリーズ(水道直圧方式)」というモデルがあり、このタイプは水道の水圧そのままでお湯を利用できるという特殊な仕様になっています。要は、日立の「ナイアガラシリーズ(水道直圧方式)」エコキュートは、水道水の標準的な水圧である500kpaを実現しているわけです。

ナイアガラシリーズは、他のエコキュートメーカーとはお湯を作る仕組み自体が異なりますので、パワフルなシャワーを実現してくれます。他にも、後述しますが「お湯をそのまま飲用できる」などというメリットも存在します。
ちなみに、エコキュートのシャワーの水圧問題に関しては、シャワーヘッドで圧力を高めるという方法も有名です。ただし、この方法の場合、シャワーの水の出る穴を少なくして水圧を高めていくという方法ですので、お湯が直線状に出てしまい、逆に使いにくくなる…という声も少なくありません。

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エコキュートの欠点② お湯はそのまま飲めない問題

次は、キッチンなどでお湯を利用する場面での欠点です。実は、エコキュートで作ったお湯は「そのまま飲用として飲むこと」は推奨されていないのです。これは、エコキュートの仕様上の問題で、タンクに水を貯めてから、そこでお湯を沸かすという仕組みと上述しましたね。毎日お湯を使っていれば、その分タンク内の水はきちんと入れ替わっていっているのですが、常に水が貯まっている貯湯タンクの中は『清潔な状態』とは決して言えない状況になっているのが原因です。

例えば、日常的にエコキュートを利用している間は、貯湯タンク内のお湯は80℃程度に保たれていますので、雑菌などの繁殖はそこまで心配する必要はありません。しかし、長期休暇を利用して数日旅行に行くなどと言った場合、エコキュートの電源を落としていくとタンク内のお湯は温度が下がり、水に代わってしまいます。つまり、エコキュートの貯湯タンク内は、「常に・絶対に」雑菌が繁殖しないような高温状態かというとそうではないということから、「そのままの飲用には適していない」と考えられているのです。

また、水道水には、マグネシウムやカルシウムなどの成分が含まれており、このような成分がタンク内に汚れとして定着してしまう可能性などもがあるため、各メーカーなども『そのまま飲用としてはしないこと』と注意書きを入れているわけです。

お湯をそのまま飲用できない対処法

上述したように、一般タイプのエコキュートであれば、エコキュートで沸かしたお湯は「そのまま飲用に使用するのは推奨できない」というのが各メーカーの見解です。ただし、エコキュートで沸かしたお湯が危険だというわけではないので、その辺りは理解しておきましょう。そして、以下のような対処で引用に使えますので、覚えておきましょう。

  • 「水」は関係ない
    これは意外に勘違いしている方が多いのですが、エコキュートを導入した場合、水もそのまま飲めなくなると考えてしまう方がいます。しかし、お湯を含んでいない「水」であれば、水道水の基準で飲用可能です。キッチンであれば、水のレバーにすることで、通常の水道管からくる水になり、そのまま飲用可能です。
  • 煮沸すれば飲んでOK
    エコキュートで沸かしたお湯の場合、煮沸することで飲用として使用できるようになります。エコキュートのお湯をお茶やコーヒーに利用する場合は、煮沸してから使ってください。
  • ナイアガラシリーズ(水道直圧方式)はそのまま飲用可能
    上述したように、エコキュートの中でも日立の「ナイアガラシリーズ(水道直圧方式)」は、お湯もそのまま飲用可能です。日立のエコキュートは、水道管からの水に熱を加えてお湯を作る方式となっているため、水道水の基準で飲用が可能です。

エコキュートの欠点③ 交換に時間がかかる場合が多い

これは、どの販売店に依頼してエコキュートの設置を行ったのかによってことなる欠点です。一般的な話で言うと、多くのエコキュート販売店は、お客様と契約終了後、指定機種メーカーに発注するという流れになります。したがって、エコキュートの設置工事は、最短で5営業日くらいかかるのが普通だという認識を持っている方も多いです。ガス給湯器の場合、万一交換が必要な故障が生じた場合でも、在庫を保持している業者も多いですし、設置工事自体が数時間で完了しますので、即日対応してくれる業者も多いです。

これがエコキュートの場合、本体そのものが高額であること、エコキュート自体が大型の設備であり場所をとってしまうこと、この2つの理由から、在庫を全く所持せずに販売を行っている業者が非常に多いのです。そのため、エコキュートを利用しているご家庭で、何らかの理由でエコキュートが故障し、お湯が出なくなった場合、修理ではなく交換を希望したとすれば、依頼する業者によって5日ほどお湯が使えない生活になえなければならない可能性があるのです。

これについては、在庫を保持していない業者に依頼すれば、メーカーに連絡して在庫確認、在庫があれば指定場所まで発送手続きをしてもらうという物理的な手間がありますので短縮しようがありません。つまり、エコキュートは、使用中に故障してしまった場合、お湯が使えるようになるまで、タイムラグが生じてしまう危険が皆さんが考えている以上に高いのです。

なお、エコキュート激安革命に関しては、専用の倉庫を保持していますし、各メーカーの人気機種の在庫を豊富に所持しています。したがって、突然の故障で「すぐに交換してほしい!」という場合でも、迅速に対応することは可能です。ただし、すべてのメーカーの全ての機種を在庫として保持しているわけではありませんので、希望の機種が無い場合は、メーカーからの取り寄せか、他の機種を選んでもらうことになります。

エコキュートの欠点④ 『騒音トラブル』問題

エコキュートの欠点として有名なのが、エコキュートの稼働音が騒音問題を引き起こしてしまう可能性があるという点でしょう。実際に、過去にはエコキュートの音を原因とした起訴沙汰などが発生しています。

この情報だけを聞くと、エコキュートって「とんでもない音が出るのか?」と不安に感じてしまう方も多いと思いますが、エコキュートが生じさせる音は、そこまで大きな音ではありませんよ。例えば、エコキュートのトップメーカーであるパナソニックの代表機種で言えば、『HE-NS46KQS:騒音値50~57dB』で、三菱電機であれば『SRT-WK465D:騒音値55~58dB』と、約50~60dB程度の音量となっています。この音量に関しては、普通の事務所の中の音や普通の会話の音量程度で、そこまで問題になりそうなものではなりませんよね。

エコキュートは、お湯を作る時に、エアコンのヒートポンプユニットから「ブーン」と言った音が生じるのですが、「お湯を作るのが深夜帯」だということが騒音トラブルの原因になるのです。要は、特別大きな音が生じるわけではないのですが、周囲が寝静まった深夜帯に音が出るため、設置場所によっては近隣の方からクレームを入れられてしまう恐れがあるという訳です。つまり、エコキュートの騒音問題に関しては、「音が深夜に生じる」ということを理解しておけば、いくらでも対処の使用があります。

エコキュートから生じる騒音の対処とは

それでは、エコキュートの騒音問題に関して、近隣とのトラブルを防ぐために押さえておきたいポイントをご紹介しておきましょう。

  • 設置場所を考える
    エコキュートの設置場所は、ご近所さんの寝室からなるべく離れた位置にしましょう。音は、距離が離れれば離れるほど減退しますので、設置場所を考慮するだけでかなり違います。なお、自宅の寝室からも離れた位置になるようにしましょう。
  • 防音対策をしてもらう
    エコキュートの騒音は、ヒートポンプユニットの振動により、低周波音が生じてしまうことが原因と言われています。したがって、振動をおさえてあげることで騒音トラブルの可能性を低減できるのです。例えば、設置時にコンクリートと機体の間に防振ゴムを設置する、ヒートポンプユニットの上には何も置かないなど、簡単な対策で大きな効果が出ます。
  • 太陽光発電があるなら昼間にお湯を沸かす
    エコキュートが深夜帯に稼働するのは、電力会社の料金プランで、深夜帯が格安に設定されるからです。エコキュートは、昼間と夜間の料金格差を上手に利用してコスト削減を目指す設備です。しかし、太陽光発電を導入しているご家庭であれば、自家発電した電気でお湯を沸かせますし、深夜に稼働させることにこだわる必要がありません。特に、FIT期間が終了しているのであれば、売電に回すのではなく、エコキュートなどで自家消費したほうがお得で、騒音トラブルの心配などもなくなります。

関連記事:エコキュートが近隣トラブルの原因に?注意しておきたいエコキュートの騒音と冷風について

まとめ

今回は、エコキュートの導入を検討している方のため、実際に導入する前に押さえておきたいエコキュートの欠点とその対処をご紹介してきました。正直な話、オール電化住宅にするのであれば、現状、給湯器はエコキュートにするしかないという状況だと思います。そういった方であれば、エコキュートの欠点がどうのこうの…と言っていられないのですが、どういった欠点があり、また対処はどうすれば良いのかを知っておくだけで、実際に導入してからの使用感はかなり違ってくると思います。

ガス給湯器からエコキュートにする方であれば、シャワーの水圧に不満を感じてしまったり、使い慣れない間は湯切れを引き起こしたり…と、何かと不便に感じてしまう恐れもあります。そういった使い勝手の部分に関しては、いずれ慣れてくるものですが、最初から対処法ぐらいはおさえておくのがオススメですよ。

正直な話、エコキュートに関わらず、どのような設備にもいくつかの欠点は存在するものですし、設備の欠点を知識として理解して、それが自分にとって耐えられる問題かどうかを検討するのが良いのではないでしょうか?エコキュートには、他の給湯器よりも給湯コストを抑えられるという、圧倒的なメリットがあるのも事実ですし、欠点の対処法さえ知っておけば、とても有用な設備になると思いますよ。