メリットが多いエコキュートにもデメリットは存在する?おさえておきたいエコキュートの注意点
エコキュートは、電気を使ってお湯を沸かす給湯器で、他の給湯システムと比較しても、光熱費削減効果が非常に高いことがメリットと捉えられており、年々その人気が高くなっています。
日本国内では、『給湯システム=ガス給湯器』というイメージが非常に強いのですが、2001年に販売開始されたエコキュートは、既に500万台以上が販売されており、現在では戸建て住宅を中心に家庭の給湯システム筆頭候補の一つにもなっているのです。この記事をご覧になっている皆さんも、家庭の給湯器更新や新築住宅を建てるため、給湯器選びを進めている所だ…という方も多いのではないでしょうか。
インターネットが発展した現在では、住宅設備を検討した際には、ほとんどの方がまずネットで検索してみるという行動に出ることでしょう。エコキュートの導入も同じで、まずはネットで検索し、良さそうな業者に相談してみるというのが一般的な導入の流れになるでしょう。それでは、こういった検索行為をしてみた時には、どのようにエコキュートが紹介されているのでしょうか?ほとんどの場合、「エコキュートは給湯コストが安い!」「タンクにお湯を貯めるため、非常時でも水の確保ができる!」など、エコキュートのメリット面を全面に押し出し紹介していることが多いと思います。もちろん、エコキュートにこれらのメリットがあることは確かなのですが、最近の情勢を見てみると、エコキュートのデメリット面に関してはすべて無視してしまい、とにかくエコキュートが優れた給湯器だという紹介のされ方が目立っているように思えます。
エコキュートのような長期間使用する住宅設備に関しては、メリット面を確認するのはもちろん、「どのようなデメリットが存在するのか?」という注意点も確認しておくのが非常に重要です。そこでこの記事では、あまり注目されることがない、エコキュートのデメリットに関してご紹介していきたいと思います。特に、ガス給湯器からエコキュートへの入れ替えをご検討中の方は最後まで読んでください。
エコキュートのメリットとは?
まずは、エコキュートのメリット面を簡単にご紹介しておきましょう。どこのサイトでもご紹介されていますので、ここでは簡潔にご紹介しておきます。エコキュートのメリットは、「光熱費の削減ができる」「ガスによる災害の心配がない」「非常時にタンクのお湯が使える」という3つのメリットが有名です。
メリット① 光熱費の削減ができる
エコキュートは、一日に使用するお湯をまとめて沸かし、貯湯タンクに貯めておくという貯湯式の給湯器です。そのため、電力会社が用意している深夜帯の電気代が格安になる料金プランを活用でき、大幅な給湯コスト削減が可能なのです。一般的には、同じ電気でお湯を沸かす電気温水器の1/3程度の電気代にまで給湯コストを削減できると言われています。ガス給湯器と比較しても、かなりの光熱費削減効果があると言われています。
もちろん、ご家庭の人数や生活パターンに依存するので具体的にどのくらい削減できるかはご家庭によって異なりますが、使い方を間違えなければかなりの削減効果が得られるでしょう。なお、太陽光発電設備を導入しているご家庭であれば、余剰電力でお湯を沸かすという使い方もでき、極限まで給湯コストを削減することも可能です。
メリット② ガスによる災害の心配がない
これは、ガス給湯器と比較した場合のメリットです。エコキュートは電気で給湯するので、ガスを使いません。そのためガス料金がかからないだけではなく、ガスによる火事の心配もありません。火事のリスクが減らせるので高齢者やお子様がいるご家庭にとってはうれしいメリットになることでしょう。
最近では、エコキュートを導入しているオール電化住宅などは、火災リスクがかなり低くなるため、火災保険料が安くなるような保険プランも登場しているようです。
メリット③ 非常時にタンクのお湯が使える
エコキュートは、上述したように、貯湯タンクにお湯を貯めていくという給湯システムです。そのため、地震などの災害時に断水されてしまった場合でも、貯湯タンクからお湯を取り出し、非常用水として使用することが可能なのです。タンクには非常用水栓があるので水の取り出しも簡単にできます。
エコキュートのデメリット
ここまでで、エコキュートのメリットを見てまいりました。これらのメリット面に関しては、どのエコキュート販売店のサイトでも紹介されていますので、皆さんも理解していると思います。
しかし、実際にエコキュートの導入を検討している方であれば、こういったメリット面だけでなく、エコキュートのデメリット面も掴んでおかなければいけないでしょう。例えば、瞬間式の給湯器であるガス給湯器を利用していた方であれば、貯湯式のエコキュートに変えることで、かなり使い勝手が変わってしまうことになります。そのため、そういったポイントを押さえていなければ、導入後に「こんなはずじゃなかった…」と後悔してしまうリスクがあるのです。
ここでは、一般的にエコキュートのデメリットとして指摘されているポイントをいくつかご紹介しておきますので、導入前におさえておきましょう。
デメリット① 初期コストと設置スペースの問題
まずは、初期コストの高さと設置スペースの問題です。エコキュートは、需要の高まりとともに、導入コストが下がっては来ているものの、まだガス給湯器よりも導入コストは高くなってしまいます。ガス給湯器は、小型化が進み壁掛け設置ができるようになっているなど、設置工事も容易で導入コストが比較的安いのです。
一方、エコキュートは、ヒートポンプユニットと貯湯タンクの設置が必要になるため、そもそもの本体価格がガス給湯器などより高いうえ、設置工事も大掛かりになりますので、2~3倍程度の工事費がかかります。さらに、お湯を大量に貯め置きしておくタンクは重量もあることから、基礎工事が必要になるなど、工事作業スペースのことも考えなければならず、どこにでも設置できるわけではないのです。こういった理由もあり、導入時点でのコストではエコキュートの方が割高になってしまうというデメリットが存在します。
なお、こういった導入コストの高さは、ランニングコストの安さですぐに取り返せると説明する業者も多いですが、一人暮らしの方や生活スタイル上、あまりお湯を使わない…というご家庭では、なかなか導入コストの差額分を取り戻すのも難しいです。したがって、エコキュートの導入を検討した場合、中長期的な料金シミュレーションをしておくのがオススメです。
デメリット② お湯切れが起こすことがある
次は、使い勝手の違いからくるデメリットです。エコキュートは、お湯が必要な時に、タンクに貯め置きしたお湯を供給するという貯湯式の給湯器です。つまり、タンクに貯めた以上のお湯を使ってしまうと、一時的にお湯切れを起こし、お湯が使えなくなるのです。もちろん、沸き増しすればお湯を使えるようになりますが、空になった状態からお湯を作るにはそれなりの時間がかかりますし、電気代が高い時間の沸き増しですので、光熱費削減効果もなくなります。
今まで、瞬間式のガス給湯器を利用していた方であれば、「蛇口をひねればお湯が出る」という常識があるため、使い勝手の違いで戸惑ってしまう可能性があるのです。エコキュートにはお湯切れさせないよう『自動沸き増し機能』などが搭載されている機種が存在しますが、そういった機能を利用すると、電気代の高さなど関係なしに沸き増しをするので、結果的に損をしてしまうリスクがあると考えておきましょう。
エコキュートの導入をする場合には、家族構成やライフスタイルから適切な湯量を貯められるタンクサイズを選ばなければいけません。
デメリット③ 入浴剤の使用に制限がある
エコキュートは、多くの入浴剤が利用できない…というデメリットも存在します。エコキュートで入浴剤を利用した場合、循環ポンプや配管の不具合が引き起こされることがあります。
したがって、エコキュートを給湯器として利用する場合は、硫黄、酸、アルカリを含んだ入浴剤の使用は基本的にNGと考えておきましょう。特に、粉末や白濁タイプの入浴剤は、追い炊き機能のあるお風呂で目詰まりを起こす可能性があるので、使用できないと考えておいた方が無難です。
使用可能な入浴剤は、エコキュートのメーカや機種によって異なりますので、「お風呂に入浴剤は欠かせない…」と考える方は、導入前にどのような入浴剤が利用できるのか予め確認しておくのがオススメです。
まとめ
今回は、家庭の給湯器としてエコキュートを考えているなら。覚えておきたいエコキュートのデメリットについてご紹介してまいりました。いかがでしたか?
いろいろなサイトで紹介されているように、他の給湯器と比較しても非常に多くのメリットを持つエコキュートですが、実際に導入する場合には、今まで使用していた給湯器と何が変わるのかなどをしっかりと押さえておかなければいけないのです。エコキュートの販売店のホームページなどは、エコキュートを売るために作られていますので、デメリット面を無視している場合も少なくありません。したがって、メリット面だけを知ってエコキュートにしてしまうと、後悔してしまうリスクがあると考えておきましょう。
エコキュートは、導入後10年以上利用する住宅設備ですので、デメリット面もしっかりと考慮し導入するのがオススメです。