知っておきたい太陽光発電の基礎知識!屋根の形状によって設置に向き不向きがある!
太陽光発電協会(JPEA)が公表したデータによると、2019年の戸建住宅総数に対する太陽光発電の普及率が9%にまで上昇しているそうです。これは、前年2018年の8.3%から0.7%上昇した結果になっており、今後もさらに普及率は高くなっていくと予想されています。というのも、近年では、新築住宅の約4割は、建築時に太陽光発電を導入していると言われており、既存住宅がリフォームで太陽光発電を導入する件数もまだまだ考えられますし、しばらくは毎年18万件ずつ程度の増加が見込まれています。
この記事を読んでいただいている方の中にも、現在太陽光発電の導入を検討しているという方も少なく無いのではないでしょうか?そして、実際に太陽光発電の導入を考えている方の多くが疑問に思うのは「自分の家は太陽光発電の設置に適しているのか?」ということでしょう。太陽光発電がは、政府や自治体が普及推進をしていることもあり、基本的には設置にかけたコストを自家発電する電気で取り戻せるような仕組みができあがっていると言われています。しかし、想定しているような電力を発電できなかった場合には、設置工事にかかるコストが取り戻せず、損をしてしまうのでは…ということが気になってします訳ですね。
実は、太陽光発電システムには、適した条件というものが存在しており、住宅の屋根形状が非常に重要になるのです。そこでこの記事では、日本国内の住宅に多い形状について、太陽光発電の設置が向いているのか、また設置の際のポイントをご紹介していきます。
太陽光発電に適した条件とは?
それではまず、太陽光発電の設置に適した条件についてご紹介しておきましょう。太陽光発電は、その名称通り、日射を電力に変換するシステムとなっています。したがって、太陽光発電は、屋根の方角や角度によって、その発電量が大きく変わってしまう訳です。
ここでは、太陽光発電の基礎知識として、設備の設置に適した方角や角度の条件についてご紹介しておきます。
屋根の方位
新築戸建ての購入時や賃貸物件選びを進める時には、日当たりの事を考えて部屋の向きを気にする人は多いですね。太陽光発電も、日当たり(日射)を電力に変換するものですので、ソーラーパネルを設置する屋根の向き(屋根面の方角)が発電量に大きな影響を与えるのです。一般的に、設置した太陽光発電設備の発電効率の目安として、屋根面が南向きを100%とすると、東西面では約85%、北面になると60~65%になると言われています。
つまり、太陽光発電システムを設置しようと思った場合、この屋根面の方位による発電効率の違いをしっかりとおさえておき、最も発電が期待できる南側に多くのパネルを設置できれば、システム全体として大きな発電量が確保できると考えられます。新築時に太陽光発電の設置を検討しているのであれば、ソーラーパネルの設置を考慮して屋根面の方位を設計すると良いでしょう。
屋根の角度(設置角度、勾配)
屋根の向きと同じく、屋根面の勾配(角度)も、太陽光発電の発電量に大きな影響を与えます。一般的に、一日を通じて太陽光を最も効率的に受けられる屋根の勾配は、30度程度と言われています。
ただし、屋根勾配に関しては、上述の最適な角度と少しずれていたとしても、発電効率が大幅に下がってしまうことはないと言われています。例えば、屋根の勾配が30度の場合を100%として、屋根勾配が20度まで緩くなったとしても、98%程度の発電効率を確保できると言われています。
上記のように、太陽光発電は、日射を効率よく受けられる条件ほど発電が期待でき、そうでない何らかの条件がある場合は注意しなければいけません。例えば、庭に大きな木がありパネルが陰になる、家の前に大きなビルがあり、日照時間が少ない…なんて条件の場合、南向きの屋根面でも十分な発電量を確保する事はできないでしょう。
太陽光発電と屋根形状の関係について
それではここから、住宅屋根の形状と太陽光発電の相性について考えていきたいと思います。皆さんは、「住宅の屋根」と聞けば、本をひっくり返した形状の三角形の屋根を思い浮かべるのではないでしょうか?この三角屋根は、切妻屋根と呼ばれる形状なのですが、アニメやイラストで登場する家は、多くの場合、切妻屋根で描かれていることもあり、『屋根=切妻屋根』と認識してしまっている方が多いのです。
しかし、住宅の屋根というものは、他にもさまざまな形状が存在しており、特に近年では、屋根面が平坦な陸屋根や、屋根面が一方向に下っている片流れ屋根が人気になっているのです。それでは、屋根形状が異なる場合、太陽光発電との相性はどう変わってしまうか以下で見ていきましょう。ここでは、日本国内で現在人気の屋根形状をピックアップしておきます。
屋根形状と太陽光発電の相性
- 切妻屋根
頂上から二方向に向かて屋根面が下っていくシンプルな形状です。切妻屋根は、それぞれの屋根面の面積が広くなるため、太陽光発電の設置に適していると言われます。また、切妻屋根は5寸勾配(26.5度)の物が多いと言う点も、太陽光発電が向いていると言われる理由です。 - 寄棟屋根
建物の四方に屋根面が向いています。この屋根形状は、長辺に四角形、短辺に三角形が2つずつあるのが基本です。中にはすべて三角形の場合もあるのですが、北面以外の3面にパネルを設置できる場合もあり、ケースによっては最もパネルを載せられます。要は、同じ寄棟屋根でも、住宅によって向き不向きが変わります。 - 片流れ屋根
屋根が、どちらかの片面のみ傾斜している形状となります。通常は北側に向かって傾斜していくものが多いのですが、太陽光発電設置が前提であれば南向きがオススメです。南向きの片流れ屋根の場合、パネルの設置面積が多くなるため、非常に適していると言えます。 - 陸屋根
屋根面がフラットで、屋上利用ができると、近年非常に高い人気を誇ります。屋上利用を考えなければ、前面にパネルを設置することも可能なのですが、屋根に傾斜が無いため、特殊な架台を設置しなければいけません。つまり、太陽光発電の設置コストが割高になってしまい、他の屋根形状と比較すれば、そこまで適しているとは言えないかもしれませんね。
上記以外にも、さまざまな屋根形状が存在していますので、「自宅の屋根形状は太陽光発電に適しているのかな?」と疑問に思う方がいれば、お気軽に弊社までお問い合わせください。
屋根形状ごとの太陽光発電設置のポイント
それでは最後に、上述した屋根形状の住宅について、実際に太陽光発電を設置しようと考えた場合、注意しておきたいポイントをご紹介しておきます。
- 切妻屋根
切妻屋根は、屋根面の方角が非常に重要です。南北の切妻であれば南面の片面のみ、東西であればそれぞれの両面に、太陽光パネルを設置する事ができると考えましょう。上述したように、屋根の向きによって発電量が変わってしまいますので、どの向きの屋根面に設置するのかをしっかりと考えましょう。 - 寄棟屋根
寄棟屋根の場合、北向きの屋根面以外の3方向に太陽光パネルの設置が可能です。切妻屋根と比較すれば、設置可能な屋根面が狭くなってしまう場合が多いので、いかに効率よく設置するのかが勝負になります。なお、寄棟屋根は、住宅密集地でよく見られる形状ですので、自宅の事だけを考えるのではなく、周辺環境から受ける影響もしっかりと調べておきましょう。 - 片流れ屋根
上述したように、片流れ屋根は、北面に傾斜している場合が多いのですが、その場合は太陽光発電は不向きだと考えましょう。最近では、架台で調節してパネルを設置できるケースがありますので、どうしても設置したい場合は専門業者に相談してみると良いでしょう。なお、南向きの片流れ屋根は、パネルを設置する面積が非常に広くなるので、太陽光発電には大変適した屋根になります。
まとめ
今回は、年々その普及率が高くなっていると言われる太陽光発電についてご紹介してきました。太陽光発電は、日射を電力に変換するシステムで、どのような住宅に設置したとしても同じ量の電気を発電してくれるものだと考えている方がいます。しかし、そのようなことはなく、屋根の形状や勾配などによって、システムの発電量が大きく異なってしまう場合があるのです。
普通に生活しているだけであれば、どこにいても太陽の光を感じられることから、屋根形状や屋根勾配など無視してしまう方も多いのですが、そういった方の中には、想定していた発電量が得られず、設置コストを取り戻すことができない…なんてことになりかねません。
まずは、自宅の屋根について、屋根の形状や屋根面の方角、屋根の勾配などから、太陽光発電の設置が向いているのかどうかを考えてみると良いのではないでしょうか。