年々増加している『オール電化賃貸』。単身者がオール電化賃貸を選ぶ際の注意点とは?

オール電化の賃貸物件を選ぶと、家賃が安くなる可能性がありますしし、生活の中でいくつかの便利なメリットがあります。

オール電化の物件は、ガス管の配管が必要ないから、建物の建築コストが下がり、その結果、家賃が安く設定されることが多いんです。特に、一人暮らしやカップルなど少人数で住む場合には、月々の出費を少しでも減らしたいですよね。

たとえば、大阪市内だけでも数万件のオール電化賃貸物件があって、これらの物件は、ガスを使わずにすべて電気だけで生活できるため、ガス代がかからない、火を使わないから火事の心配が少ないといったメリットがあります。

でも、実際に住んでみないと分からないデメリットもあるから、選ぶ時はちょっと注意が必要です。

オール電化の賃貸物件を選ぶ時は、家賃の安さや生活の便利さを考えつつ、実際に住んだ時のこともしっかり想像してみるといいですね。

オール電化賃貸の設備とメリット

それではまず、オール電化賃貸がどのような物件を指しているのかや、実際にオール電化物件を選ぶことのメリットを簡単にご紹介していきましょう。

オール電化賃貸の設備

オール電化物件と聞いても、普通の賃貸住宅と何が違うのかよくわからない…という方もいるかもしれませんね。オール電化賃貸に関しては、そこまで複雑な話ではなく、戸建て住宅と同じく、日常生活で使用するエネルギーを電気で統一するという賃貸住宅のことを指しています。一般的な賃貸住宅の場合、コンロとお風呂部分はガス給湯器を利用するというのが普通なのですが、この部分も電気で稼働する設備になっているわけです。

オール電化賃貸を借りる人のメリットは下で紹介するとして、近年オール電化住宅が増えているのは、戸建て住宅でオール電化が選択されるようになっており、「エコだ!」「光熱費が安い!」などという良いイメージが一般化したことから、競合物件との差別化としてオール電化にする賃貸住宅が増えているのです。さらに、アパートなどを新築する場合を考えた時には、ガスに関する工事が必要なくなることから、建設にかかるコストを大幅に下げることができ、賃貸経営の初期費用が削減できる分、家賃を安くでき空室対策になるというのが物件オーナー様にとって非常に大きなメリットになっているようです。他にも、いろいろなライフスタイルを持った人が共同で生活する集合住宅で、火を使わない家庭ばかりになるため、物件での火災リスクが低くなるというのも大きいのでしょう。

一般的に、オール電化賃貸は、以下のような設備が導入されます。

  • IHクッキングヒーター
    オール電化賃貸の場合、もともとガスコンロが採用されている部分にIHクッキングヒーターが導入されます。IHクッキングヒーターは、鍋振りなどができない…などという使い勝手の部分をデメリットと考える方もいますが、あまり料理をしないという単身者の方であれば、気にする必要はないと思います。火力に関しては、IHクッキングヒーターの方が強いですし、使い方に慣れてしまえば、料理をする人でも特に困るようなことはないです。何より、天板がフラットですので、日々のお手入れが非常に楽だという点が単身者には人気です。
  • エコキュートor電気温水器
    給湯器もガスではなく、電気をエネルギー源とするエコキュートや電気温水器が導入されます。注意が必要なのは、給湯器として電気温水器が導入されている物件です。一般的に、エコキュートと電気温水器では、エコキュートの方が圧倒的に給湯コストが安いと言われていますので、オール電化賃貸でも、エコキュートにこだわって物件を探すのがオススメです。
  • 床暖房
    オール電化賃貸の中にも、床暖房設備が導入されている場合もあります。オール電化での床暖房は、エコキュートのお湯を利用する温水式のものと電気ヒーター式の物があるのですが、基本的に電気代だけを見るとエコキュートの方がお得と言われています。ただし、集合住宅用のエコキュートはタンクが小型ですので、床暖房にまでお湯を利用するとなると、毎日お風呂のお湯をためるなんて方であれば、損になってしまうことも考えられます。オール電化賃貸の場合、何か特別な理由でもなければ、床暖房までは求めないでも良いのかなと筆者は思います。

オール電化賃貸を選ぶメリット

それでは、オール電化賃貸を選んだ時のメリットも簡単にご紹介しておきましょう。普通に考えれば、同じ賃貸でも設備が整ったオール電化の方が家賃が高くなりそうに思えますよね。しかし、新築のアパートなどになると、建設コストが抑えられる分、同じようなグレートの賃貸であれば、オール電化賃貸の方が家賃が安くなる傾向があると言われています。これは物件探しをする方からしても、非常に大きなメリットです。

他にも、調理にも給湯にも直接火を使わなくなりますので、日常生活の中の火災リスクが少なくなるという点も大きなメリットでしょう。IHクッキングヒータでも、一切の火災リスクがなくなるとは言えませんが、ガスコンロなどと比較すれば、圧倒的にそのリスクは低くなるはずです。さらに、ガス給湯器の場合、経年劣化してくると、不完全燃焼してしまうようになってしまい、それによる一酸化炭素中毒などの事故も発生しています。電気でお湯を沸かす設備であれば、こういった事故リスクもなくなるという点がメリットです。

最後は、戸建て住宅などでオール電化が導入される大きな理由となる光熱費削減効果です。エコキュートなどは、オール電化専用の料金プランを導入するのですが、その料金プランは深夜帯の電気代が格安に設定されています。そして、電気代が安い深夜帯にお湯を沸かすことで、大幅に給湯コストを削減するという訳です。オール電化賃貸でもこの仕組みは同じで、自分のライフスタイルにIHやエコキュートが適しているのであれば、ガス併用よりも光熱費削減が目指せると思います。
ただし、単身者や2人暮らしなど、大した湯量を使わない…という場合には、そこまで劇的な光熱費削減は期待できないと思います。

オール電化賃貸の注意点

それでは、実際にオール電化賃貸を探している方に向け、「ここは注意しておきたい!」と言えるポイントをいくつかご紹介していきます。上述したように、オール電化賃貸は、人によっては非常に大きなメリットが得られることは確かですが、そのメリットが全員に共通するというわけではないのです。さらに、同じオール電化賃貸でも、微妙に設備のグレードが異なりますので、その辺りは慎重に確認してください。

設備のグレードについて

まずは、設備のグレードについてです。一般的な戸建住宅で言うオール電化は、調理器具としてIHクッキングヒーターを、給湯器としてエコキュートを設置するというのが普通です。したがって、戸建て住宅であれば、設備のグレードはそこまで気にする必要はなく、どのメーカーのエコキュートにするのかなどを考えれば良いだけなのです。

しかし、賃貸住宅で言うオール電化というものは、あくまでも電気で動作する設備が設置されているだけなのです。例えば、コンロについても、IHクッキングヒーターではなく、トースターと同じような仕組みの『電気コンロ(電熱器)』が設置されている場合があります。電気コンロは、IHクッキングヒーターよりも熱効率がかなり悪いので、このタイプが導入されている賃貸で調理を良くするという場合、電気代が確実に高くなります。
さらに給湯器に関しても、エコキュートではなく電気温水器が導入されている場合もあるのです。電気温水器は、メーカーの公式サイトなどでエコキュートの3~4倍の電気代になると説明されていますし、光熱費が安いと聞いたしオール電化賃貸にするという方が、「電気コンロ+電気温水器」なんて物件を借りてしまうと、日々の光熱費の高さに頭を悩まさてしまうことになります。

参考:パナソニック公式サイト

停電について

オール電化住宅最大の注意点は、停電になると何もできなくなる…という点でしょう。家の中の設備が全て電気で稼働するわけですので、当たり前のことですよね。この部分に関しては、どうしようもありませんし、停電対策としてカセットコンロやランプなどを用意しておくと良いでしょう。
なお、ガス給湯器などに関しても、着火に電気を使いますので、停電すると基本的にお湯は出ません。ガスコンロは、電気式のものは使えますが、灯りが無いので危険ですね。

お湯の使い方に注意

エコキュートは、戸建て住宅に導入する際も「お湯切れの心配がある…」という点がデメリットとして紹介されています。実際に、エコキュートは、一日に使用するお湯をあらかじめ沸かして貯め置きしておくという仕組みの給湯器ですので、貯めている以上のお湯を使ってしまうと、お湯切れを引き起こしてしまうのです。もちろん、沸き増しすればお湯が使えるようになりますが、お湯が出るようになるまでしばらく時間がかかりますし、光熱費削減効果も小さくなってしまいます。

そして、賃貸アパートなどにエコキュートを導入する場合は、設置場所の問題で、戸建て住宅に導入されるものよりも小型化されたタイプになるのです。戸建住宅では、最も小さなタイプで370Lほどお湯を貯めれるのですが、マンションなどの集合住宅用のエコキュートとなると、150~200L程度しか貯めれません。この湯量は、浴槽にお湯をたっぷり貯めて、シャワーや調理にお湯を使う…となるとギリギリの量ですので、毎日しっかり湯船につかりたい…という方には少し心もとないかもしれません。
エコキュートは、かなり大型の設備ですので、賃貸住宅になるとスペースの問題で、どうしても小型タイプになってしまう場合が多いのです。中には、370Lタイプが設置されているような平屋の賃貸などもありますので、どうしてもという方は、そういった物件を探しましょう。

電力会社について

オール電化賃貸の場合、契約する電力会社を指定されてしまう場合もあるようです。なお、こういった電力会社の指定がある物件はあまりオススメできないと言われています。
エコキュートなどは、上述したように、オール電化用の料金プランを上手に活用して光熱費削減を目指すものです。それなのに、電力会社を指定された場合、そういったオール電化用の料金が無い…なんて場合もあるのです。電力自由化が進んだ現在、新電力会社が物件オーナー様と契約していて、特定の電力会社しか契約できない…なんてパターンもあるので、契約する前にきちんと確認してください。オール電化プランが無い場合、年間で数万円以上電気代が高くなってしまう…なんてことも考えられます。

まとめ

今回は、近年賃貸業界でも増加していると言われているオール電化賃貸のメリットや注意点をご紹介してきました。オール電化賃貸は、コンロにIHクッキングヒーターが、給湯器としてエコキュートがと言った感じに、電気で稼働する設備が導入されている物件を指しています。こういった物件は「オール電化は光熱費が安くなる!」と言ったポジティブなイメージが広がっていることから、賃貸住宅でも需要が高くなってきたことで増えているのだと思います。

特に、これから賃貸経営を始めようと考えている方で、アパートを建てようとしている方などであれば、オール電化に特化した建物にするのもオススメです。オール電化に特化すれば、ガスに関わる工事が必要なくなりますし、建設コストを大幅に下げることが可能です。そう知れば「オール電化」だというだけで付加価値が付くだけでなく、「割安な家賃設定」をすることもできるようになり、非常に有効な空室対策にもなるのではないでしょうか?

エコキュート激安革命は、集合住宅でのオール電化工事も対応していますので、お気軽にお問い合わせください。