オール電化にして後悔している人も少なく無い?意外と見落とされがちなオール電化のデメリット

皆さんは『オール電化』と聞けばどのようなイメージを持っているでしょうか?多くの人は、家庭で使用するエネルギーを電気に統一することで、光熱費削減が実現すると聞くし、「やっぱりガス併用よりもお得なのだろう!」や「火を使わない生活になるし、火災の心配がない!」などと言った事が思い浮かぶのではないでしょうか?

太陽光発電設備の普及もあり、年々オール電化の普及率が高くなっていると言われていますが、それでもまだまだ家庭のエネルギーはガスと併用している…という方の方が多いのが現状です。しかし、これからオール電化への切り替えをご検討中の方は非常に多いと思いますし、この記事を読んでいただいている方の中には、「オール電化って本当に便利なのか?」とインターネットで調べているうちにこの記事にたどり着いたという方も多いことでしょう。
そこでこの記事は、プロの視点から考えた皆さんに抑えておいてほしい『オール電化のデメリット』についてご紹介していきたいと思います。オール電化は、再生可能エネルギーが活用できる住宅が実現しますし、日本政府なども普及推進に力を入れています。さらに、オール電化にした場合に活用できる周辺設備なども多く登場していることから、さまざまな業界で「オール電化は便利だ!」などとメリットばかりが紹介されるようになっています。

しかし、実際にオール電化を導入する場合には、デメリット面もきちんと理解しておかなければ、導入後に「こんなはずじゃなかった…」なんて後悔してしまう結果が待ち構えているのです。ここでは、意外と見落とされがちなオール電化のデメリットをご紹介していきますので、現在オール電化を検討中の方はぜひ参考にしてください。

オール電化を後悔するポイントとは?

それでは、オール電化を導入した方が後悔してしまいがちなポイントをご紹介していきましょう。インターネットなどの情報を見回してみれば、「火災の心配がないのでお子様や高齢者がいるご家庭にオススメ!」や「ガス併用よりも大幅に光熱費削減が実現できる!」など、さまざまなメリットが紹介されていることから、オール電化にしなければ損をしてしまうような気持ちになってしまうことも少なくありません。

それでは、ネット上に出回っているこれらの情報はすべて正しい事なのでしょうか?実は、こういった情報を鵜呑みにしてオール電化を導入してみたところ、「オール電化にするんじゃなかった…」と後悔してしまう人も少なく無いと言われているのです。オール電化にはさまざまなメリットが存在するのは確かですが、導入する方のライフスタイルによっては聞いていたほどの光熱費削減効果が得られない…なんてことも珍しくないのです。
そこでここでは、オール電化を導入した方が、後悔してしまう原因をいくつかご紹介していきたいと思います。

① 災害による停電が弱点になる

オール電化の弱点やデメリットとして真っ先に挙げられるのは「停電すると困る…」というポイントです。オール電化は、家庭で使用するエネルギーを電気に統一するわけですので、地震や台風などの自然災害で停電が発生した場合、家庭内の全ての設備が使えなくなってしまう訳です。そのため、実際に停電被害に遭遇した方であれば「オール電化にするんじゃなかった…」と後悔してしまう方が多いのです。

しかし、筆者はこの部分に関してはそこまで心配するデメリットではないと考えています。というのも、「停電すると電化製品が使えなくなるからオール電化はダメだ!」という指摘になっているのですが、実はガスを使用する設備であっても、停電すれば使えなくなってしまうものは多いのです。例えば、ガス給湯器であれば、着火の際に電気を使用しますので、停電すればガス給湯器もお湯は出なくなってしまうのです。エコキュートの弱点として「停電するとお湯が使えない…」という方がいますが、実はガス給湯器も同じなのです。

確かに、オール電化の方が使えなくなる設備が多くなりますので、相対的に停電時の困るポイントが多くなるかもしれません。しかし、オール電化であれば、太陽光発電や家庭用蓄電池を導入することで、停電でも全ての設備を利用するようにできるという対応策が可能になるのです。つまり、オール電化の致命的な弱点と考えられている『停電』は、他の設備で対処可能ですので、そこまで大きなデメリットではないというのが筆者の考えです。ただし、停電対策をしようと思えば、高額な設備を導入しなければならないので、コスト的な面はデメリットになるかもですね。

② 全ての家庭で光熱費削減ができるわけではない!

オール電化最大のメリットは、日々の生活にかかる光熱費削減が可能と言うポイントですね。しかし、この部分に注意が必要なのです。

実はオール電化のメリットとされている光熱費削減に関しては、オール電化にすることで光熱費削減が実現できるご家庭もありますが、逆に光熱費が上がってしまうご家庭もあるのです。オール電化による光熱費削減は、ガス会社との契約を解約することで、ガスの基本料金を節約することができる点や、電力会社が用意しているオール電化用の料金プランに加入し、それを上手に活用できる設備を使うことで実現するものです。そして、オール電化住宅用の料金プランというのが癖物なのです。

オール電化を導入する場合には、施工会社から「電力会社との契約を専用の物に切り替えてください。」と説明されると思います。このオール電化用の料金プランは、深夜帯の電気代が格安に設定されており、エコキュートなど安い深夜帯の電力を活用できる設備を使うことで光熱費削減を実現できるようになるのです。
しかし、このオール電化用の料金プランについては、ほとんどの場合、昼間の電気代が割高に設定されており、電力会社によっては夜間よりも3倍以上高くなることもあるのです。つまり、共働き家庭などで、昼間はほとんど電気を使わない…というご家庭であれば、昼間と夜間の料金格差を活用して電気代削減が目指せるのですが、昼間も誰か家にいて電気を良く使用するご家庭であれば、割高な電気を使用する分、ガスを併用していた時よりも光熱費が高くなってしまうことがあるのです。

つまり、オール電化を導入する場合には、ご家庭のライフスタイルをよく考えて決めなければ、後々後悔してしまう結果になるのです。

③ 高額な導入コストがかかる

主に、ガスを併用していた方が、リフォームでオール電化を導入する場合に後悔してしまうポイントです。オール電化を導入するためには、家庭で使用するさまざまな設備について、電気で稼働する住宅設備に切り替える必要があるのです。代表的な物をご紹介すると、以下のような設備を購入する必要があります。

  • IHクッキングヒーター
  • エコキュート
  • 電気式床暖房システム
  • 電気式浴室乾燥

基本的にはガスを利用している設備に関して、電気で動作する設備に更新する必要があると考えましょう。また、上記以外にも、オール電化にするタイミングで太陽光発電設備や家庭用蓄電池を導入する方も多いです。
つまり、オール電化にするリフォームでは数百万円単位のコストが必要になるということです。そして、実際にオール電化による生活をスタートさせたところ、思ったほどの光熱費削減効果が得られなかった場合、そのコストで後悔してしまう…という方が多いのです。

④ 設備の使い勝手が変わってしまう

最後は、オール電化用の住宅設備に入れ替えることで、新たな住宅設備の使い勝手に不満を感じてしまう…というポイントです。

例えば、ガス給湯器を利用していた方が、オール電化にリフォームすることに伴いエコキュートに入れ替えした場合には、お湯切れの可能性がある…お湯をそのまま飲用に使えない…などといった点に不満を感じることが多いようです。ガス給湯器は、お湯が必要な時に必要な分を沸かすという瞬間式の給湯器になるため、蛇口をひねればいつでもお湯を使うことができます。しかし、エコキュートの場合、一日に使用するお湯をまとめて沸かしてタンクに貯めておくという貯湯式の給湯方式になるため、貯めていた以上のお湯を使ってしまうとしばらくお湯が使えなくなるのです。また、タンクに貯めておくことで、そのまま飲用することができなくなるのです。他にも、水道直圧式ではないので、シャワーの水圧が弱くなることも不満が上がるポイントです。
キッチン周りでは、ガスコンロからIHクッキングヒーターに代わることで、今まで使用していた調理器具が使えなくなる…、フライパンの使用方法が変わる…などと言った点に不満を持つ方がいます。

これらのポイントは、慣れてしまえば特に大きなデメリットにはならないと思いますが、オール電化導入直後には意外と困ってしまう方が多いので注意しましょう。

オール電化導入を後悔しないためには?

ここまでの説明で分かるように、オール電化は誰にとっても光熱費削減を実現できるというものではないのです。もちろん、火を使わない生活が実現できるという安全性の高さは誰にとっても非常に大きなメリットになるのですが、それでも光熱費が逆に上がってしまった…なんてことになると、オール電化の導入を後悔してしまう結果になってしまいますよね。

それでは、オール電化の導入を後悔しないためにはどうすれば良いのでしょうか?ここでは、オール電化を後悔しないためにおさえておきたいポイントをご紹介しておきます。

料金シミュレーションを行う

オール電化の導入を後悔しないためには「オール電化を導入することで、本当に光熱費削減が実現できるのか?」ということを事前にシミュレーションしたうえで決めるということです。

上述したように、オール電化を導入する場合、電力会社が用意しているオール電化用の料金プランに切り替えするように言われるのですが、その場合「夜間の電気代が格安になります!」なんて説明を受けることが多いです。しかし、この料金プランは、夜間の電気代が安くなる分、昼間の電気代がかなり高くなってしまう…ということを忘れてはいけません。したがって、普段の生活スタイルを良く見返し、料金プランを変えても問題ないのか、ガス併用からオール電化にすることで、総額いくらぐらいの光熱費削減が実現するのかをしっかりと計算するようにしましょう。

また、太陽光発電や家庭用蓄電池を導入する場合、それぞれの活用方法と導入コストも併せて検討する必要があるでしょう。太陽光発電は、売電収入で導入コストを取り戻すものとイメージしている方が多いのですが、蓄電池も導入すれば、昼間に発電した電気を蓄えておき、その電気を夜間に使用するというサイクルが作れるため、電力会社からの買電を0にすることも可能なのです。最近では、住宅周りの設備がかなり複雑化していますので、専門家の意見も聞きながらしっかりと計算しておきましょう。
ちなみに、家庭用蓄電池は、災害による停電時でも電力供給を行うことができるようになるという、目に見えないメリットもありますので、その辺りも十分に考慮しておきましょう。

まとめ

今回は、年々日本国内での普及率が高くなっていると言われるオール電化について、オール電化の導入を後悔してしまうかもしれないポイントについてご紹介してきました。

この記事でもご紹介したように、オール電化は安全でクリーンなエネルギー利用が実現できることもあり、インターネット上ではそのメリットばかりが注目されるようになっています。確かに、オール電化にすれば生活の中で火を使う機会が極端に減りますので、住宅火災のリスクや不完全燃焼による事故などのリスクはほとんどなくなります。そのため、火災保険の中には、オール電化にすることで保険料金が下がるようなプランも用意されるようになっているのです。

しかし、オール電化のもう一つのメリットと言われている『光熱費削減』に関しては、オール電化にすることでこのメリットを得られるご家庭と得られないご家庭があるということを忘れてはいけません。オール電化は、導入するためにかなりのコストがかかってしまうもので、そのコストは光熱費削減効果で取り返すことが想定されています。しかし、導入してみたものの、光熱費があまり下がらなかった…逆に高くなってしまった…なんてことになってしまうと、何のためにオール電化を導入したのか分からなくなってしまいますよね。

オール電化にはさまざまなメリットがあるのは事実ですが、そのメリットが得られるかどうかは、ライフスタイルなどによって異なりますので、しっかりと検討したうえで導入するかどうかを決めましょう。