賃貸住宅でも増えてきた!オール電化住宅のメリットとデメリットは何?

オール電化住宅とは、料理や給湯、冷暖房など、家庭内で使用されるエネルギー全てを電気で賄う住宅のことを指しています。このオール電化住宅は、ガス火を利用しないため、安全でクリーンな住宅として2000年代ごろより徐々に広がってきています。オール電化住宅初期のころは、IHコンロの火力の問題などもあり、従来のようにガスと電気を併用している方が便利だ…という声もよく耳にしましたが、ここ数年でさまざまな製品開発が進んだことにより、新築やリフォーム時にオール電化住宅を選択する人が増加しています。
特に最近では、賃貸マンションなどであっても、『オール電化』を売りにしている物件が増えており、便利なうえに光熱費の削減もできるなどというイメージを持っている人も増えているようです。しかし、いざオール電化住宅を選択するときには、本当に不便を感じないのか…自分に合っているのか…災害時はどうなるのか…などといった不安を持っている方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、家庭のエネルギーを全て電気にするオール電化住宅を選択した場合のメリット・デメリット両方をご紹介していきたいと思います!

オール電化住宅ってどんな家?

それではまず、「オール電化住宅ってどんな家?」ということを簡単にご紹介しておきましょう。オール電化住宅とは、冒頭でご紹介したように、調理、給湯、空調など、家庭内で使用するエネルギーを全て電気で賄う設備を導入している住宅の事です。まだまだ家計のうちの光熱費が電気代とガス代、場合によっては石油ストーブなどの灯油代など、空調燃料費を指している家庭も多いですが、これらが全て電気代のみになるということです。特に近年では、戸建て住宅だけでなく、賃貸用のマンションなどでもオール電化住宅が増加しています。
こういったオール電化住宅は、給湯にガス給湯器を利用するのではなく、「エコキュート」という名称で知られている自然冷媒ヒートポンプ給湯機などを利用してお湯を作ります。また、調理に関しては、IHクッキングヒーターが導入されており、火ではなく磁力発生コイルでの加熱となるため、火災の心配もなく安全でクリーンな住宅になると人気です。ただし、調理に関しては、フライパンを浮かせて振ったりする必要がある中華料理などは、IHコンロから離れてしまい、熱が伝わらないなどの問題もあります。
オール電化住宅は、深夜帯の電気代を大幅に下げ、その時間でお湯を作り置きすることができるなど(エコキュートの導入が必要)、オール電化住宅の機能を最大限活用し、電気代削減が可能な料金プランなども作られています。

参考:オール電化住宅にオススメの関西電力の料金プラン『はぴeタイムR』について

オール電化住宅のメリットとデメリット

それではオール電化を導入した場合に、どういったメリットとデメリットがあるのかをご紹介していきましょう。

オール電化住宅のメリット

まずは、家庭のエネルギーを全て電気だけで賄うオール電化のメリットからです。当然のことですが、オール電化を導入する場合には、電気エネルギーで稼働する、さまざまな機器を導入しなければいけません。ここで紹介するメリット・デメリットは、主に日々の生活の中で見えてくるもので、機器を導入した後のことにスポットを当てています。

メリット1 光熱費の管理が楽
オール電化にするのであれば、ガスや灯油などのその他燃料を使用することがありません。したがって、ガス会社との契約も不要で基本料金などを支払う必要もなくなるわけです。ガスと電気を併用する場合には、2つのエネルギーの料金を管理する必要がありますが、オール電化の場合、電気代の管理だけになりますので、光熱費の管理はかなり楽になります。
メリット2 光熱費を圧縮できる
各電力会社では、オール電化住宅の普及促進が行われているため、オール電化住宅に有利な料金プランが作られています。そのため、ガス代の基本料金を削減できるだけでなく、電気代の圧縮も可能で光熱費を下げることが期待できます。
メリット3 火災の不安が少ない
オール電化住宅は、直火ではなくIHコンロの磁力線による加熱です。したがって、調理中に火を使わないため火災のリスクを大幅に減らすことができます。小さなお子様がいる家庭や、高齢者だけの世帯では、火災リスクの低いオール電化はとても安心だと思います。なお、オール電化住宅は、火災リスクが低いことから、火災保険が少し割安になることもあります。
メリット4 ガス漏れや一酸化炭素中毒の心配がない
火災リスクが低いことと似ていますが、ガスを利用しないオール電化では、ガス漏れ、一酸化炭素中毒の心配もありません。安心・安全な住宅を作れるのがオール電化の大きなメリットです。
メリット5 災害時の復旧が早い
オール電化は、停電時に何もできなくなる…などという理由で敬遠する人が多いです。しかし、地震や台風による大災害では、電気同様ガスなどのライフラインも停止する可能性が非常に高いです。そして、全てのライフラインが停止した場合、過去の例を見るとほとんど電気の復旧が最も早いのです。さらに、エコキュートは貯水タンクにお湯を貯めておくシステムとなっているため、断水時に生活用水として利用できることも、オール電化住宅が評価される一因です。

オール電化住宅のデメリット

それでは、上記と逆に、オール電化住宅のデメリットもいくつかご紹介しておきます。

デメリット1 電気代が高くなることも
オール電化住宅やエコキュートの導入は、「光熱費が安くなる」ことを期待して行うものです。しかし、生活習慣などを原因に、もとより高くなってしまう人がいるのです。オール電化は、基本的に割安な深夜帯の電力を利用することで電気代を安くすることが前提です。当然、その前提条件が崩れれば、光熱費削減のメリットを得られません。
デメリット2 近隣トラブルの原因になることも
主にエコキュートに言えることですが、エコキュートは、深夜の静まり返った時間帯に稼働します。そして、エコキュートの稼働時には低周波音が出るのです。日中であれば気にならない音でも、隣接した住宅地であれば深夜の静かさから「音がうるさい!」と近隣トラブルになることがあります。
デメリット3 お湯切れの可能性がある
これもエコキュートに関するものです。ガス給湯器であれば、蛇口をひねればいつでもお湯が出ます。しかし、エコキュートはタンクに貯め置いたお湯を使用するというシステムとなるため、タンクのお湯を使い切ってしまった場合、沸き増しをする必要があるのです。したがって、慣れないうちはうっかりお湯切れを起こし、不便に思うこともあるかと思います。
デメリット4 IHコンロの不便さ
最近ではIHコンロの進化もあり、そこまで大きな問題はないと言われますが、直火の時とは使い勝手がかなり変わり不便さを感じる人は多いようです。特に、『あぶる』などの調理方法は出来ないため、別にオーブントースターなどで代用しなければいけません。また、IH専用の調理器具を用意しなければいけないのですが、少し割高なので買い替え時に少しコストがかかるのもデメリットです。

まとめ

今回は、近年新築住宅やリフォーム、賃貸住宅でも一般的になってきた『オール電化』のメリットとデメリットをご紹介してきました。オール電化は、家庭で使用するエネルギーを、全て電気で賄うことにより、管理が楽になることや光熱費を削減できることが大きなメリットとなります。当然、オール電化の導入時にはそれなりのコストがかかってしまいますが、光熱費が削減できると考えると、中長期的に見てお得になるというものです。さらに、家庭内で直火を使用しませんので、調理中の火災リスクが極端に低くなるメリットがあります。特に小さなお子様がいる家庭や、高齢者のみの家庭では、安全というのは大きなメリットになることでしょう。
しかし、上述したように、生活習慣などにより、本来得られるはずの光熱費削減効果が感じられない場合もあると言われています。そういった方は、選択している料金プランが間違っている可能性もありますので、こまめに電気料金プランの見直しもした方が良いと思いますよ!