電気でお湯を沸かすエコキュート!停電の時にはお湯は使えないの?

今回は、エコキュートの導入を考えている方の多くが疑問に思っているであろう「エコキュートって停電時はお湯が使えないの?」という点について考えていきたいと思います。 エコキュートは、電気代が安い深夜電力を利用して、効率よくお湯を供給してくれる給湯器ですので、「日々の光熱費を安く抑えることができる!」と考えて、近年需要が高まっています。新築住宅を建てる時はもちろん、現在ガスや石油を使った給湯器を利用している方でも、ランニングコストを考慮してエコキュートに入れ替えを行うという工事は増加しています。 しかし、光熱費が安くなるという情報はよく耳にするけれど、なかなか入れ替えへの一歩を踏み出せない方の中には「電気を使ってお湯を沸かす電気給湯機のエコキュートは停電の時に困ってしまうんじゃない?」と不安に思う人が少なくないのではないでしょうか? 実際のところ、エコキュートは電気を利用してお湯を作るわけですので、停電が続いている間はお湯を沸かすことはできません。しかし、エコキュートを導入している場合、停電時でもお湯が使えるケースと、使えないケースというものがありますので、今回は、その辺りを詳しくご説明していきたいと思います。

現在エコキュートの導入を考えている方や、エコキュートを導入したけれど「停電の事は気になっていた…」という方には、ぜひ知っておいてほしい情報ですので、最後まで読んでいただければと思います!

停電時におけるエコキュートのお湯供給状況について

それでは、停電時のエコキュートによるお湯の供給について説明していきます。冒頭でもご紹介しましたが、エコキュートは電気を利用してお湯を沸かすシステムですので、停電時には新たにお湯を作ることはできません。こう聞くと、「停電時は絶対にお湯が出ないじゃん!」と思うかもしれませんが、場合によってはお湯が利用できるケースもあるのです。

以下で、停電時のエコキュートにおいて、お湯が使えるケースと使えないケースをそれぞれご紹介します。

停電時でもお湯が利用できるケース

まず覚えておいてほしいのは、エコキュートは電気代の安い深夜時間帯の電気を使ってお湯を沸かし、作ったお湯を貯水タンクに貯めておくというものです。そして、貯めておいたお湯を、必要になった時に給湯するというものです。つまりこれは、電気ポットが大きくなったものとのイメージでおおよそ間違ってはいなく、屋外に大きな電気ポットを置いて、そこに大量のお湯を作り置きしているという状況なのです。 ここまでの説明で、ある程度予想できると思いますが、停電する前に作り置きされている貯水タンクのお湯は、停電していたとしても使うことができるという訳です。したがって、貯水タンクに十分なお湯が貯まっているのであれば、蛇口さえ捻れば普通にお湯が出てきます。当たり前ですが、「停電中はお湯が作れない」状態ですので、エコキュートの機能を利用して、新たにお湯を貯めることは出来ず、あくまでも『給湯』のみが出来るという状態です。そのため、全自動タイプのエコキュートを導入している方でも、停電中は「追い炊き」などの機能を利用することは出来ません。

因みに、注意が必要なのは、この場合エコキュートの貯水タンクは魔法瓶のような扱いになるため、タンク内にあるお湯がそのまま蛇口から出てきます。通常、エコキュートが正常に動作している場合は、リモコンで設定している温度のお湯が蛇口から出るのですが、そういった温度調整も出来ませんので、高温のお湯が蛇口から出てきて火傷してしまう恐れがあります。

お湯が使える状態でも、温度の調整は蛇口側でしなければいけないということは覚えておきましょう。

停電時にお湯が利用できないケース

次は、停電時にお湯が使えなくなるケースです。「お湯気使えるケース」の逆で、そもそも貯水タンクにお湯が貯まっていないという場合であれば、新たにお湯を沸かすことができませんしお湯は利用できません。この状況は、「停電した時間帯がいつか?」ということが意外と重要です。なぜかというと、上述している通り、エコキュートは基本的に電気料金が安い深夜時間帯(※電力会社によって時間は異なる)にお湯を沸かすものですので、本来お湯を沸かさなければならない深夜時間帯に長時間停電があったという状況であれば、お湯を貯めておくことができなくなってしまうのです。したがって、タンク内のお湯の残量が少なく、すぐにお湯が使えなくなってしまいます。 他にも、災害時など『停電と同時に断水も起こっている』という状況でもお湯は使えません。

「お湯はあらかじめ作られているのになぜ?」と疑問に思うかもしれませんが、これはエコキュートの構造が原因です。エコキュートは、貯水式の給湯器ですが、タンク内に貯めたお湯は通常の蛇口と同じく、水道の水圧に押し出されてお湯が出るという構造になっているのです。そのため、いくら蛇口をひねっても、断水時はお湯を押し出す圧力が無いため、お湯を出すことができないのです。 ただし、エコキュートの場合、貯水タンクにお湯が貯まってさえいれば、手動でお湯を取り出すことはできます。

メーカーによって位置は異なりますが、エコキュートには『非常時取水栓』がほとんどの場合ついていますので、そこからお湯を取り出すことができるのです。したがって、災害時などに断水してしまった場合、貯水タンクの水を数日間は生活水として利用することも可能です。

オール電化 停電

そもそも他の給湯器も停電時はお湯が使えない

停電時のエコキュートによる給湯については分かっていただけましたね。

簡単におさらいすると「貯水タンクにお湯が貯まっていればお湯は利用できる」ということです。もちろん、貯水タンクにあったお湯を使い切ってしまえば、その後は停電が復旧するまでお湯は利用できません。 こう聞くと「エコキュートじゃない燃料の給湯方式の方が安全!?」と思う方も多いかもしれません。しかし、エコキュートのような電気給湯器以外の、ガスや石油を利用した給湯器の場合を考えても、そもそもお湯を出す制御に電気を使っていますので、こちらも停電するとお湯は使えません。それどころか、エコキュートのように貯水タンクなどは用意されない給湯方式のため、停電時はどのようなケースでも給湯器を利用してお湯を出すことはできません。 電気を利用するエコキュートであれば、お湯を使えるケースがあるのに、電気が燃料ではない給湯方式の方が不利になるなど、意外な話かもしれませんが、ガスや石油を利用した給湯方式は点火に電気を使っているため、致し方ない話なのです。

ただし、エコキュートのデメリットとして一点あげるのであれば、停電が復旧しても、タンク内にお湯が無い状態であれば、その時点からお湯を沸かし貯めなければならないため、しばらくの間お湯が使えないという構造的欠陥があります。ガスや石油を利用した給湯方式であれば、停電が復旧すればすぐにお湯が利用できる点を考えれば、デメリットといえるかもしれませんね。

まとめ

エコキュート停電

今回は、電気を利用してお湯を沸かすエコキュートについて、停電時に給湯は出来るのか?ということについてご紹介してきました。

本稿でもご紹介したように、電気を燃料にお湯を沸かすエコキュートですが、場合によっては停電時でもお湯を使用することが可能です。点火ができない他の給湯方式と比較すると、かなり大きなメリットになるかもしれませんね。 しかし、停電しているということは、本来エコキュートで可能な温度調整などは出来なくなってしまうので、蛇口から熱湯が出る可能性があるなど、火傷には十分な注意が必要になります。この点だけを注意しておけば、災害時でもお湯を使用したり、生活用水を貯水しておくためには非常に便利なものとなるはずです。