エコキュートは「おすすめしない!」って情報は本当?何が理由でオススメできないって言っているのか?

各ご家庭で使用する給湯器にはさまざまなタイプの機器が存在しています。特にガス給湯器やエコキュートなど、お湯を沸かすためのエネルギー源から異なる製品が存在するなど、マイホームの新築時などには給湯器は何を選べば良いのか…と困ってしまう方も少なく無いようです。

近年では、電気でお湯を沸かすことができるエコキュートが、日々の給湯コスト削減効果や地球環境問題に貢献できるなどといった理由から、年々その人気が高くなっていると言われています。しかし、ネットでエコキュートについて調べてみた時には「エコキュートはおすすめしない」といった真逆の情報も存在することで、「本当にエコキュートを選択しても良いものだろうか…」と迷ってしまう方も多いと言われているのです。

そこでこの記事では「エコキュートをおすすめしない」といった情報に関して、その情報が本当なのか、また何をもって「おすすめしない」と言っているのかを考えてみたいと思います。エコキュートは、家庭の給湯を一手に担う設備で毎日使用することになりますので、機器のメリット面とデメリット面、両方をよく理解して判断しなければいけませんよ!

エコキュートがオススメできないという方の言い分は?

エコキュートは、ガス給湯器などと比較すると、まだまだ新しいシステムの給湯器となるため、その信頼性に疑いを持っている方も多いです。実際に、オール電化やエコキュートに関しては、登場した当初から、弱点ばかりに注目して「エコキュートには絶対にしたくない…」といったネガティブなイメージを持っている方も少なくありません。

こういったエコキュートを敬遠する方の多くは、以下のような主張から「エコキュートはおすすめしない!」と言っているようです。

  • 導入コストが高いから
  • お湯切れのリスクがあり使い勝手が悪いから
  • オール電化用の料金プランは弱点があるから
  • 騒音問題が心配だから

「エコキュートはダメ!」と考える方の主張は、だいたい上の4つの意見に集約されます。それでは、それぞれの意見について、もう少し詳しくみていきましょう。

「導入コストが高い」はホント?

エコキュートはおすすめしない…という方で、最も多い理由はこれになるでしょう。ネットで、エコキュートに関するネガティブな意見を探してみると、必ず目にするのが「初期費用が高いから元が取れない…」というものです。

ガス給湯器は、小型化が進んでいるため、初期にかかるコストがエコキュートよりも安くなります。そしてエコキュートは、光熱費削減効果が高いと言われるものの、導入コストが高くなることから「導入コストの差額が取り戻せない…」という主張になるのです。ただし、こういった内容を主張している記事を見てみると、ほとんどの場合、エコキュートの導入コストを70~80万円くらいと想定しています。しかし実際には、エコキュートの価格も年々落ちてきており、現在では最も安いものになると施工費込みで30万円台のものも存在するのです。グレードの高い高価格モデルとなると60万円程度かかる場合もあるのですが、ガス給湯器などの高機能モデルも当然高くなりますので、ガス給湯器とエコキュートの差額はそこまで大きなものではないと言えます。

「エコキュートは高い!」という主張に関しては、最新の価格相場と違う情報を元に考察されていることが多いのですが、現在の価格相場で考えると、ランニングコストの安さを加味すれば、エコキュートの方が費用対効果が良くなるというご家庭の方が多いはずです。
なお、エコキュートの導入コストに関しては、ガス給湯器よりも高くなるのは事実ですので、「普段あまりお湯を使わない…」という方であれば、導入コストの差額を取り戻すのが難しいかもしれません。

「お湯切れリスク」はホント?

次は、瞬間式のガス給湯器と比較すると、お湯切れしてしまうリスクがある事から、「使い勝手が悪くおすすめしない」という意見です。エコキュートは、貯湯式の給湯器で、一日に使用するお湯をまとめて沸かしてタンクに貯め置きしておくというシステムです。つまり、タンクに貯めている以上のお湯を使ってしまうと、お湯切れしてしまい、しばらくお湯が使えなくなってしまうリスクがあるのです。

なお、最新モデルのエコキュートにはお湯切れ防止機能などが搭載されており、一定以下の湯量になると、自動で沸き増しを行い、お湯切れさせないような対策がなされています。ただし、こういった機種であっても、エコキュートはお湯を沸かすスピードがガス給湯器ほど早くないため、沸き増しのスピードよりも速くお湯を使うとお湯切れしてしまうことがあるのです。要は、エコキュートは、物理的に「お湯切れを必ず防ぐ!」ということは不可能な訳です。

エコキュートという給湯器は、基本的に深夜帯の安い電気を利用してお湯を沸かすことで光熱費削減を目指すものですし、何度も沸き増しが必要となれば、そのメリットすらなくなってしまいます。一日に何度もお湯はりをしてお風呂に入る…といったライフスタイルであれば、エコキュートの良さを生かせない場合があるため、そういった方にはエコキュートがおすすめできないのは事実かもしれませんね。
ただし、一般的なご家庭であれば、きちんと湯量を計算して、必要な湯量が貯められるタンク容量の物を選べば、そこまで頻繁に湯切れを起こすことはないと思います。

料金プランの弱点について

これはエコキュート本体に関するデメリットではないのですが、エコキュートが基本的に電力会社が用意しているオール電化用の料金プランに切り替えることで光熱費削減を目指すということから、この部分が弱点となり「エコキュートはおすすめしない」という意見が出ているのです。

オール電化用の料金プランに関しては、関西電力の『はぴeタイムR』など、深夜帯の電気代が格安に設定されています。そしてエコキュートは、電気料金が安くなるこの時間帯にお湯を沸かすことで、給湯コストを削減するシステムとなっているのです。しかし、こういった深夜帯の料金が安いプランは、昼間の電気料金が割高に設定されています。つまり、親世代と一緒に暮らしているご家庭など、昼間も家に誰かがいて、それなりに電気を使用しているというご家庭であれば、給湯コストは下がるものの、生活にかかる電気代全体が高くなってしまうため、光熱費削減どころか、逆に電気代が高くなってしまう…なんてリスクがあるわけです。

エコキュートは、給湯コストが下げられるのは確かですが、ご自身のライフスタイルを無視してしまうと、その他の部分にかかる電気代のバランスが崩れてしまい、エコキュートへの入れ替えを後悔してしまう恐れもあります。導入前にしっかりと料金のシミュレーションはしておいた方が良いですよ。なお、太陽光発電を導入していて、自家発電した電気でお湯を沸かす場合、このデメリットは無視して構いません。

騒音問題はホント?

これに関しては事実です。実際に、エコキュートに入れ替えしたことで、隣家との騒音トラブルが発生してしまい、裁判沙汰にまで発展してしまった…なんて話も過去に存在します。

ただし、エコキュートが稼働時に「大きな音が生じる…」のかというとそうではありません。エコキュートは、ヒートポンプユニットと呼ばれる、エアコンの室外機のような装置を使ってお湯を沸かします。そして、このヒートポンプユニットが稼働する際には、振動音が生じてしまうのです。しかし、エコキュートの振動音に関しては、エアコンの室外機から発生する音量と同等ですので、本来はそこまで問題となるような音の大きさではありません。

上述したように、エコキュートは、安い深夜帯の電気を利用してお湯を沸かすシステムですね。つまり、エコキュートが主に稼働するのが、周囲が寝静まった深夜であることから、閑静な住宅街などになると、振動音が目立ってしまい騒音トラブルになるリスクがあるわけです。これに関しては、メーカー側も対策を考えるようになっており、ヒートポンプユニットを設置する際に防振対策を行うことや、隣家の寝室などとは離れた位置に設置するようにすることで、騒音トラブルを防止することが可能だと言われています。
最近では、土地の問題などもあり、戸建て住宅ごとの距離が非常に近くなっています。したがって、設置場所がギリギリのスペースになりそう…などという場合は、経験豊富な施工業者と相談しておくのがオススメです。

エコキュートはメリットも非常に大きい!

ここまでの説明で「エコキュートはおすすめしない」という方の言い分は分かっていただけたと思います。上の説明を見ていただければわかりますが、エコキュートがダメだという方にも、一定の根拠というものが存在しているのです。しかし、その根拠となるものに関しては、全ての方にとって問題となるわけでもなく、それどころか多くの方にとって「特に気にしなくても構わない」問題だと言えるのです。

そもそも、エコキュートが上述しているような「欠陥だらけの設備」なのであれば、これほどまでに多くの方が導入しているわけはありません。エコキュートは、デメリットもそれなりにあるものの、それ以上のメリットがたくさんあるから、多くの方に選ばれる給湯器となり得ているのです。ここでは、エコキュートのメリット部分に関しても簡単にご紹介しておきます。

給湯コストが安くなる!

エコキュートの入れ替えた場合、他の給湯器と比較して、給湯コストが下がるのは確かです。エコキュートの人気メーカーであるパナソニックの公式サイトで公表されているデータでは、エコキュートに交換することで、月平均1,100円もの電気代削減効果があると言われています。
ただし、エコキュートにすると、昼間の電気代が割高になる料金プランに切り替えることになりますので、ご家庭のライフスタイルを考えて、電気料金のバランスが慎重に検討しておく必要はあるでしょう。

参考:パナソニック「低ランニングコスト

太陽光発電設備との相性が良い

言うまでもなく、電気でお湯を沸かすエコキュートは、太陽光発電システムとの相性が非常に良いです。太陽光発電設備が導入されているご家庭であれば、昼間の電気を自家発電した電気で賄うことができますし、大幅に電気代を削減することができます。また、設置から10年以上が経過した太陽光発電であれば、売電価格が大幅に下落してしまうことで、発電した電気は自家消費に回す方が得になると言われています。このタイミングでエコキュートに切り替える方が非常に増えています。
なお、コストがかかりますが、家庭用蓄電池を導入すれば、昼間に発電した電気を蓄電池に貯めておき、それを夜間に使用するというサイクルが作れますので、電力会社からの電気の供給に頼らない「電気の自給自足」も不可能ではありません。

火災リスクが少なくなる

エコキュートは、お湯を沸かす際も『火』を全く使わないシステムですので、住宅火災のリスクが大幅に減少します。また、ガス設備を使用しているご家庭が心配する、ガス漏れによる中毒事故のリスクもありません。
こういった安全性の高さは、ガス給湯器にはない大きな魅力と言えるでしょう。なお、火を使わないオール電化住宅は、火災保険の保険料が安くなるプランもあるそうですよ。

災害対策になる

最後は、台風や地震などによる停電や断水に備えられるというメリットです。エコキュートのような設備は、「停電するとお湯が沸かせないから不利…」と考えられていますが、ガス給湯器に関しても着火に火を使う訳ですので、停電するとエコキュートと同じくお湯を沸かせません。しかしエコキュートに関しては、あらかじめお湯を沸かして、タンクに貯め置きしておくというシステムですので、停電してもしばらくの間はお湯を使用することができるというメリットがあるのです。さらに、断水時には非常用水として利用できるなど、災害対策の面で考えれば、ガス給湯器よりは確実に便利な設備と言えるでしょう。

台風の大型化や超巨大地震の発生が近づいていると言われる日本では、こういったエコキュートのメリット面は非常に大きいと思いますよ。

まとめ

今回は、ネット上に出回っている「エコキュートはおすすめしない」という情報に関して、何をもっておすすめしないのかについて考えてみました。この記事でご紹介したように、エコキュートが誰にとっても完全無欠な給湯システムかというとそうではなく、特定の人にとっては「お勧めしない!」といわれるような弱点が存在する機器になってしまうのは間違いない事実です。

しかし勘違いしてはいけないのが、全ての人にとっておすすめできないわけではなく、その逆に、多くの人にとってはメリットが非常に多い給湯システムに仕上がっているということなのです。どのような設備でも、何らかの弱点が存在するものですが、その弱点が自分にとって本当に致命的なものなのかをよく考えなければいけないと思いますよ。
エコキュートの導入を検討した場合には、この記事でご紹介したような、メリット面とデメリット面を慎重に比較検討するようにしましょう。