卒FITを迎えたら!エコキュートを昼間に運転させるのがお得になる!?
一躍、注目された一般家庭で使用されている太陽光発電システム『固定価格買取制度(FIT)』ですが、2022年4月1日以降は、新規のFIT契約は受け付けられておらず、既存のFIT契約も終了を迎えます。
そんな卒FITの方が見落としがちな、「エコキュートを昼間に沸かす設定」への変更。
この昼間シフトについて、各メーカーの設定方法やどのくらいお得になるのか紹介します。
【参考】2024年(令和6年度)電気の価格
※タップすると切り替わります。
平均すると1kWhあたり売電価格10円
- 10kW未満:16円/kWh
- 10kW以上~50kW未満:10円/kWh
- 50kW以上:9.5円/kWh
売電価格は年々減少傾向にあり、一般的な家庭が電力会社から購入している電気代単価を下回っています。
平均すると1kWhあたり電気料金31円
- 北海道電力:1kWhあたり33円前後
- 関西電力:1kWhあたり29円前後
- 東京電力:1kWhあたり30円前後
- 中国電力:1kWhあたり29円前後
- 九州電力:1kWhあたり26円前後
太陽光導入11年目以降の売電は実質「損」!
太陽光発電の売電はFIT制度によって10年間の高額買取が保証されています。しかし、11年目以降は買取価格が大幅に下がります。
- 太陽光導入10年以内:43円/kWh
- 太陽光導入11年以降:10円/kWh
※大手電力会社平均程度に下落する
「売れるのだから少しでも得をするじゃん!」と思いがちですが、
売るのではなく、自家消費する電気量を増やすことで電気代の削減につながりますため、そっちの方がお得になるんです。
電気代の削減による節約分が増えるため、トータルの収支にはプラスになる可能性があります。
現在の電気料金を考えると尚さらといえますね。
また、太陽光発電に蓄電池を組み合わせることで、余剰電力を蓄え、夜間や天候が悪い時に自家消費することができます。これによって、自家消費割合が高まり、売電量を抑えることができ、売電収入が減少するリスクを軽減できます。
卒FIT民はエコキュートの昼間運転がお得な理由
では一番気になる、太陽光発電で昼間にお湯を沸かすとどのくらいお得になるのかをチェックしていきましょう、
売電するよりも使ったほうが安くなる
売電価格が安くなることで、ご家庭で太陽光発電した電気を売るよりも自分たちで使ったほうが計算上お得になります。
- 1ヶ月で500kWh使う想定
- 1ヶ月で100kWh電気を作れる想定
太陽光発電を売電すると
- 1ヶ月の売電価格:4,300円(43円×100kWh)
- 1ヶ月の電気料金:15,500円(31円×500kWh)
- 1ヶ月の合計料金:11,200円
太陽光発電を使用すると
- 1ヶ月の売電価格:0円
- 1ヶ月の電気料金:12,400円(31円×400kWh)※売らずに使うので400kWhで計算
- 1ヶ月の合計料金:12,400円
- 1ヶ月で500kWh使う想定
- 1ヶ月で100kWh電気を作れる想定
太陽光発電を売電すると
- 1ヶ月の売電価格:1,000円(10円×100kWh)
- 1ヶ月の電気料金:15,500円(31円×500kWh)
- 1ヶ月の合計料金:14,500円
太陽光発電を使用すると
- 1ヶ月の売電価格:0円
- 1ヶ月の電気料金:12,400円(31円×400kWh)※売らずに使うので400kWhで計算
- 1ヶ月の合計料金:12,400円
最終更新日:2024年11月21日
FITが期間満了(売電価格10円/kWh)を迎え卒FITになってしまうと、今までのような高額な売電価格ではなく、10円程度にまで一気に急落してしまい売ったほうが損する状態になります。
一般的な大手電力会社から電気を購入する価格はおよそ31円程度となっていますし、電力会社から買電する価格よりも圧倒的に安い価格にまで下落してしまう訳です。
つまり、いくら余剰電力を売電したとしても、買電価格との格差で、今までのようなメリットを得るようなことができないのです。
今まで売電収入を得るために使っていた余剰電力を自家消費に回すという考えが非常に有効だと言われています。
例えば、余剰電力を使ってエコキュートを運転することを考えた場合、売電分の収入はなくなってしまいますが、電力会社から購入した電気を使ってお湯を沸かすと考えたら、余剰電力でお湯を沸かした方が絶対にお得です。
電力プランを見直すことができる
エコキュートを導入しているご家庭では、深夜帯の電力が格安になっているプランに切り替えていることが多いでしょう。
例えば、昼間のピーク時の電気代が25.86円なのに対し、深夜帯では14.93円まで電気料金が安くなるようなプランが用意されています。
エコキュートは、こういった電気料金プランを上手に利用して給湯コストを抑えることができるのが大きなメリットと言えますが、格安と言われる深夜帯の買電価格ですら売電価格を大きく上回る水準になります。
深夜電力プランは、夜間の電気代を安くする一方で、昼間の電気代は高く設定されています。
つまり、今のプランでざっと計算できるもプラン変更も兼ねて考えればさらにお得になります。
エネルギーロスを少なくできる
通常のエコキュート利用は、安い深夜帯の電気を利用して、日中に使う分のお湯をまとめて沸かすこととなります。
しかし、このような利用方法の場合、お湯を使うまでの間にタンク内でお湯の温度が低下してしまうのです。エコキュートの貯湯タンクは、魔法瓶をイメージしていただければわかりやすいように、ある程度温度を保つことはできるのですが、徐々に放熱して温度低下を招くのです。
一般家庭であれば、夕方から夜にかけて多くのお湯を使うこととなるのですが、『深夜にお湯を沸かす』と『昼間にお湯を沸かす』ということでは、その時間差で昼間にお湯を沸かした方がエネルギーロスを少なくできるのです。
また、エコキュートは、ヒートポンプ技術を利用しています。これは空気中にある熱を効率よく利用してお湯を作る機構なのですが、当然気温の低い夜間よりも外気温が高い昼間の方が効率が良くなります。
実際に、エコキュートの昼間運転は、夜間運転と比較して平均で11%程度の省エネ効果があるという実験結果もあります。
各メーカーのエコキュート昼間運転に役立つ機能
ここまでは、卒FITを迎えたご家庭で、エコキュートの昼間運転がお得だという情報をご紹介してきました。実は、エコキュートの開発を行っているメーカーなどでは、より効率的にエコキュートが利用できるよう、さまざまな機能をつけるようになっています。その中でも、卒FITを迎えたご家庭で、エコキュートを効率的に昼間運転できるようにする機能などもありますので、現在エコキュートの買い替えなどをお考えの方は、こういった機能がある物を選ぶのもオススメです。
以下でいくつかのオススメ機能をご紹介しておきます。
パナソニック 「ソーラーチャージ機能」
パナソニックの『ソーラーチャージ機能』は、太陽光発電の余剰電力を自家消費できる機能となっています。この機能を使えば、夜間の湧き上げ量を減らして、翌日の昼間に分散して湧き上げるなどが可能となります。
参考:パナソニック公式サイト
三菱電機 「お天気リンクAI」
三菱電機のエコキュートには『お天気リンクAI』という機能があります。この機能は、翌日が晴れの予報なら、翌日の日中に太陽光発電でお湯を沸かし、雨ならお湯を晩のうちに自動で沸かすという非常に高機能なAIとなっています。なお、この機能を利用するためには、三菱HEMSおよび別売部品のGT-HEM3が必要となります。
参考:三菱電機公式サイト
コロナ 「ソーラーモード」
コロナの『ソーラーモード』は、明日・明後日の天気予報を確認し、晴れ予報の時間帯にソーラーモードをONにしておくことで、夜間にお湯をつくる量をセーブして、翌日の昼間に太陽光で発電した電力を使い、設定量までお湯をつくる機能となっています。また、好天が続く夏季などであれば、ソーラーモードを1週間継続することも可能です。1週間経過後は、自動的に通常運転モードに戻ります。
参考:コロナプレスリリースより
まとめ
今回は、卒FITを迎えるご家庭に向けて、余剰電力を利用したエコキュートの昼間運転のメリットをご紹介しました。冒頭でご紹介したように、エコキュートというのは、格安な深夜帯の電力を利用することで大きな給湯コスト削減効果を得られると言われるものです。しかし、卒FITを迎えたご家庭であれば、昼間に自家発電してできる余剰電力を利用すればより効率的にエコキュートの利用ができるようになるのです。
2019年問題などと言われるように、固定価格買取制度の終了は、太陽光発電を導入しているご家庭の大きなデメリットとして捉えられています。しかし、家庭内にある住宅設備を上手に使うことで今まではできなかった電気代削減方法が利用できるようになるなど、何もデメリットばかりではないのです。
今後の日本では、卒FITを迎えるご家庭が毎年何十万件も出ると言われていますすので、この記事を読んでいる方の中にも、卒FIT後の電力利用方法に頭を悩ませている…という方も多いことでしょう。もしそういった方で、まだエコキュートの導入をしていない…というのであれば、エコキュートを導入して余剰電力を有効利用できる体制を作るのがオススメです。下落した売電価格で収入を期待するのではなく、電力を自家消費する体制を作ることで、売電収入以上の電気代削減効果を期待することもできるはずですよ!
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