エコキュートを導入するなら!知っておきたい足し湯と追い炊きの違い

今回は、エコキュートを導入して、日々の生活の中で利用することがあるかもしれない『足し湯』や『追い炊き』などの機能についてご紹介していきたいと思います。

近年では、家庭でお湯を利用するために導入される『給湯器』も多様化しており、そもそも「お湯を作るためのエネルギー源すら異なる…」なんて時代になっています。従来から使用する方が多いのは、ガスをエネルギーとしたガス給湯器なのですが、最近では、環境への負荷も大幅に軽減できると言われる『エコキュート』の人気が急上昇しています。エコキュートは、電気によってお湯を沸かす給湯器なのですが、エアコンなどにも利用されているヒートポンプ技術を活用し、大気中の熱を効率よく使ってお湯を作る仕組みとなっているため、ガス給湯器と比較してもCO2の排出量を大幅に削減できるのです。

このように、さまざまな給湯器が登場していることから、エコキュートなどに付属されている機能はどんどん進化しています。もともとお風呂というものは、自分で蛇口を開き、必要な量が溜まったのを確認してお湯を止める。お湯がぬるくなったり、減ってきたら自分で差し湯をするなどの行動が必要だったのですが、最近の給湯器に入れ替えれば、ボタン一つで全ての作業を自動で行ってくれるようになっているのです。こういった機能は、『足し湯』や『追い炊き』などと呼ばれるのですが、それぞれの意味を正確に理解できていない人も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、エコキュートの機種選びをするときにも知っておきたい、『足し湯』と『追い炊き』の違いをご紹介します。

エコキュートは「追い炊きできない…」は勘違い

エコキュートに関する勘違いの一つとして、エコキュートのような給湯システムは「追い炊きできない…」というものがあります。これは、エコキュートがエアコンと同じく、ヒートポンプ技術を利用して、大気中の熱を使ってお湯を沸かし、貯湯タンクに貯め置きしておき、必要な時に水を混ぜ合わせて適温のお湯を給湯するというものだからです。つまり、あらかじめ作り置きされているお湯を水で薄めて利用する給湯システムだということで、「追い炊きなどはできないのでは?」と考える人がいるのです。

実際に、エコキュートには『足し湯』という機能が搭載されており、エコキュートを開発・販売するメーカー側では、『足し湯』を利用することを推奨しているのです。しかし、エコキュートにも『追い炊き』機能はきちんとついていますので安心してください。なお、エコキュートは、搭載する機能によって3つのタイプに分かれており、追い炊きや足し湯ができるタイプのエコキュートは『フルオート』と呼ばれます。フルオート以外にも、『オート』や『給湯専用』と呼ばれるタイプのエコキュートがあるのですが、これらには『足し湯』と『追い炊き』機能はありません。タイプの違いによって、出来ることがかなり違ってきますので注意しましょう。

エコキュートの追い炊き機能とは?

給湯器などの機能としてついている『追い炊き』は、お湯を沸かし直しをすることで、ぬるくなったお湯に熱いお湯を追加するのではなく、今あるお風呂のお湯を沸かし直しすることを指しています。

この意味から「エコキュートは追い炊きできない」と考える人がおり、実際にエコキュート導入の打ち合わせをする際などには、「追い炊きの際、タンクのお湯とお風呂のお湯が混ざるのではないか?」などと言った質問を受けることは多いです。結論からご紹介しますが、エコキュートの追い炊き機能を利用してもタンクの湯とおふろの湯が混ざるようなことはありません。確かに、冷めてしまった浴槽のお湯はタンク方向に一度戻ってしまいますので、混ざってしまうのでは…と気になるのも分かりますが、そんなことはないのです。

エコキュートの『追い炊き』では、タンク内の熱湯を使うのは間違いないのですが、もう少し具体的に言うと、タンクの熱湯の熱を熱交換器を利用して浴槽のお湯を温め直すという仕組みになっているのです。そのため、浴槽にあったお湯をタンクにもう一度入れるのではありませんので、タンクの湯と混ざるようなことはなく、浴槽の湯を温め直すことができるのです。

エコキュートの追い炊き機能の注意点

エコキュートへの入れ替えを考えている方に注意していただきたいのは、エコキュートの追い炊き機能を利用すると、使用可能湯量が減ってしまうということです。

こう聞くと「追い炊きはタンクの熱湯を使うわけではないのに、湯量は減らないのでは?」と考えてしまう人が多いと思います。しかし、追い炊き機能の使用前後で、リモコンのモニターに表示されているタンク内の残り湯量を確認してみると、追い炊き後には減ってしまうのです。とても不思議な現象のように思えますが、エコキュートの仕組みを思い出していただければ「なるほど!」と思っていただけると思います。
実は、エコキュートのモニターに表示される湯量というのは、「タンク内に入っている湯量」を表示しているのではなく、適温(設定した温度)にした場合に使用できるお湯の量を計算して表示してくれているのです。上でも少し触れましたが、エコキュートはタンク内の熱湯に水を混ぜ合わせて適温にした状態で給湯を行うのです。したがって、『タンク容量:370L』などと記載されているエコキュートでも、実際にはもっと多くの量の湯を使用可能な訳です。

追い炊き機能は、タンク内の熱湯の熱を利用してぬるくなったお湯を温め直す仕組みです。つまり、タンク内のお湯は、量こそ減らない物の、熱交換している分の熱量が減ってしまいタンク内のお湯の温度が下がってしまう訳です。そうすることで、適温にしたお湯の量が減ってしまうというからくりです。

エコキュートの「足し湯」について

エコキュートには、「足し湯」や「高温足し湯」という機能が存在します。同じ足し湯なのですが、少し意味が違うのでそれぞれの意味をきちんと覚えておきましょう。

  • 足し湯機能 ⇒ タンクの熱湯と水をまぜて適温のお湯を追加する
  • 高温足し湯 ⇒ タンク内の熱湯をほとんど薄めず、60℃~80℃の高温状態で足し湯をする

上記のように、同じ足し湯だとしても微妙に意味が違うのです。この違いを押さえておかなければ、間違った状況で間違った機能を利用してしまい、余計な光熱費が掛かってしまう…なんてことになりません。一般的に、温度は問題ないがお湯の量が足りない時に「足し湯」機能を利用する、お風呂がぬるくなってしまったから設定温度まで温めたい場合に「高温足し湯」を使うという感じです。

足し湯と追い炊きはどっちが得?

エコキュートの導入前であれば、ぬるくなったお風呂を温めるには、高温足し湯と追い炊きならどっちがいいのか?と気になっている人が多いでしょう。どちらもお風呂を再度温め直すことができる機能なのですが、「どうやって?」という部分が異なるのです。

  • 追い炊き ⇒ ぬるくなった浴槽のお湯を循環させ温め直す。新たにお湯を追加しないので水道代はかからない
  • 高温足し湯 ⇒ ぬるくなったお風呂の湯を少し減らして、そこに高温のお湯を追加して温め直します。つまり、水道代も多少かかります。

上記のように、最終目的は同じなのですが、やり方がかなり異なるのです。それではどちらがお得なのでしょうか?結論から言うと、お風呂の温め直しは『高温足し湯』の方がお得です。
追い炊きは、タンクのお湯の熱を熱交換器を使って間接的に温める手法となりますので、直接的に高温のお湯を追加する方が効率的なのです。さらに、現在の日本では、水道代よりもお湯を沸かす料金の方が深夜料金利用のエコキュートであっても高くなってしまうため、金銭的にも高温足し湯の方がお得になります。

まとめ

今回は、エコキュートの導入を検討している方がぜひ知っておきたい、足し湯や追い炊きなどのエコキュートの機能をご紹介しました。近年の給湯システムは、どんどん高性能化が進んでいますので、使ってみなければその便利さが良く分からない…というものも多いです。さらに、機能の名称だけでは、具体的にどういった仕組みになっているのかがわかりにくいため、「何ができるのか?」がイマイチ分からない…という質問は少なくないのです。
現在、エコキュートへの入れ替えをご検討中の方で、エコキュートの機能に関するご不安がある場合には、お気軽に弊社までお問い合わせください。経験豊富なスタッフが、お客様のご要望や機能的な質問に対して丁寧にお答えします。