エコキュートは災害に強いと言われる!実際に災害があった時にはどんな使い方ができるの?

エコキュートは、ヒートポンプユニットと貯湯タンクユニットが一体となった給湯システムで、ガス給湯器などと比較して、日々の給湯コスト削減が期待できることや火を使わないシステムなので安心だということで人気になっています。さらにこの給湯システムは、一日に使用するお湯を夜間にまとめて沸かして、貯湯タンクに貯めておくという『貯湯式』の給湯器になっていることから、台風や地震などの自然災害による被害に強い、災害対策設備としても注目されています。

日本は、『災害大国』などと揶揄されるように、諸外国と比較しても大規模な自然災害が非常に多い国として有名です。もともと、台風や地震などの被害が多いイメージでしたが、最近では夏場の集中豪雨などによる水害なども頻発しており、どこに住んでいる方であっても、万一の災害の備えが重要だと言われています。
それでは、エコキュートが他の給湯設備と比較して自然災害に強いと言われるのはどういった点が理由なのでしょうか?電気でお湯を沸かす給湯器ですので、「停電が発生すればダメなんだし、ガス給湯器の方が良いのでは?」と考えてしまう方が多いことでしょう。しかし、ガス給湯器に関しても、着火に電気を使いますので、停電時はお湯が使えないことに変わりありません。

エコキュートに関しては、「貯湯タンクのお湯を貯めておく」という特徴があるため、災害時にはガス給湯器などと比較にならないほど助けになるアイテムなのです。そこでこの記事では、エコキュートが災害時にどのように役に立つのかを簡単にご紹介していきます。

災害時のエコキュート利用方法について

それでは、台風や地震などの自然災害が発生した際に、エコキュートがどのように利用できるのかについてご紹介していきましょう。ここでは、自然災害によって『停電が発生した…』という場合と『断水した…』という場合について、それぞれの利用方法をご紹介します。

停電時の利用方法について

まずは、何らかの理由で停電が発生した場合です。エコキュートは、電気を利用してお湯を沸かすシステムですので、停電が発生してしまうと新たなお湯が沸かせなくなってしまいます。ちなみに、上述したように、他の給湯器でも基本的に電気は必要ですので、お湯は使えなくなります。しかし、エコキュートの場合、停電が発生する前に、タンクにお湯を貯めていますので、タンクにある分だけのお湯は生活用水として利用できるのです。

注意が必要なのは、災害などで停電が発生した場合、本体側でお湯の温度の調節ができなくなってしまうということです。つまり、停電時はタンクに溜まっている非常に高温のお湯しか出なくなってしまいますので、お湯を出す際に誤って火傷をしないように注意しなければいけません。停電時は何らかの容器にお湯を出して、それを冷まして使う、水と混ぜて温度を下げて利用するなどの手間が必要です。

断水時の利用方法について

災害によって断水が発生してしまうと、どのような給湯器も新たなお湯を作る事はできません。水すら出ないので、当たり前のことですね。しかし、エコキュートの場合であれば、貯湯タンクに貯めているお湯を生活用水として利用することができるのです。

災害による断水は、顔が洗えない…トイレの水を流せない…など、衛生面のさまざまな問題が発生してしまいます。そして、こういった衛生面のトラブルが続いてしまうと、徐々に精神的なダメージも大きくなってしまうのです。エコキュートであれば、貯湯タンクに貯めてある分のお湯を、家族の衛生状態を保つための生活用水として利用することができます。タンクの大きさはさまざまありますが、460Lタイプのタンクに満タンのお湯があれば、4人家族で使用したとしても、3日程度の生活用水が確保できると思います。

エコキュートを購入する際には、見た目や機能などに注目しがちですが、「万一の災害を考えて」という視点で、非常用水を確保するため、大き目サイズがオススメかもしれませんね。

災害時のエコキュート利用手順について

ここまでの説明で分かるように、エコキュートは貯湯タンクにお湯を貯め置きしていくという仕様になっているため、万一の災害でも数日間分の生活用水を貯めていることと同じ意味になるのです。それでは、実際に停電や断水被害に遭った場合、どのようにしてエコキュートからお湯を取り出せばよいのかも簡単にご紹介しておきます。

以下に、一般的なエコキュートについて、災害時のお湯の取り出し方をご紹介しておきます。ただし、メーカーによって微妙に手順が異なる場合がありますので、念のため取扱説明書なども確認したうえで行ってください。

  1. 脚部カバーを取り外す
  2. 遮断機のレバーを下げて電源を切り、電気の供給を止めてください
  3. エコキュート専用の止水栓を閉め、貯湯タンクへの給水を停止
  4. 逃し弁操作窓を開いて、レバーを手前に引いて空気の通り道を作ります
  5. 非常用ホースを取り出し口に設置
  6. ホースの差し込み部分を持って、左に回す。貯湯タンクは保温性があるため、熱湯が出ることがありますので、やけどに注意してください
  7. ホースの差し込み口を持って右側に回し、水を止める
  8. 必要な水を取り出したら、逃し弁レバーを元に戻す

基本的には、上記の流れでタンク内のお湯(水)を取り出すことができます。エコキュートの貯湯タンクは、魔法瓶のような保温性がありますので、熱湯に注意してください。

災害に備えて、タンク内の清掃は欠かさないように!

災害時には、貯湯タンクからお湯を取り出し、それを調理や洗顔などに使用することがあります。したがって、清潔な非常用水を確保するためには、貯湯タンク内を綺麗に保っておく必要があると考えておきましょう。

貯湯タンク内は、水やお湯しか入っていませんし、「掃除なんかしなくても綺麗なのでは?」と考えてしまいがちです。しかし、エコキュートの貯湯タンク内は、水道水のミネラルや水垢などによって汚れが蓄積してしまうため、定期的にタンクの水抜きを行うなどのメンテナンスが必要なのです。エコキュートから供給されるお湯を清潔に保つためには、半年に1度程度の頻度で水抜きメンテナンスを行いましょう。

なお、エコキュートの水抜きの手順に関しては、メーカーごとに微妙に異なりますので、取扱説明書などでよく確認してください。基本的な流れに関しては、以下の記事をご参照してください。

関連記事:エコキュート使用時の注意点!使い方によっては寿命を縮めてしまいます…

まとめ

今回は、エコキュートのメリットの一つである「エコキュートは災害に非常に強い!」と言われる所以についてご紹介してきました。エコキュートのメリットとして良く紹介されることは、深夜帯の安い電気を利用してお湯を沸かすことになるため、他の給湯器よりも給湯コストが安いということや、火を使わない給湯器ですので、住宅火災などのリスクが低くなると言う点です。

これらのメリットは、日常使いする給湯器として考えても非常に大きな利点になるのは間違いありません。さらにエコキュートは、諸外国と比較しても自然災害が非常に多いと言われる日本においては、「災害時でも一定量の生活用水を確保できる!」というメリットがあるのです。現在でも、大型台風が接近した時には、万一のことを考えて浴槽に水を貯め置きしておく…なんてことする方も多いと思います。
エコキュートは、常にタンク内にお湯や水を貯め置きするシステムですので、普通に使っているだけで災害時の備えになるという非常に大きなメリットがあるのです。特に地震に関しては、現在の技術をもってしても「いつ・どこで」発生するのか予測ができないのが現状です。そう考えると、エコキュートの「非常時でも生活用水を確保できる」というメリットは、非常に心強いと言えるのではないでしょうか。